児童虐待の悲しい報道がなされるたびに,「またか」と思う人は多いのではないかと思います。
生命にかかわるような重大な虐待が増加しているのかは分かりませんが,児童相談所が対応した児童虐待相談はとんでもなく増加しています。
出典はいずれも厚生労働省ホームページ「児童虐待相談対応件数の動向」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/index.html
相談経路で最も多いのは,警察等で,約半数を占めます。
平成21年度はわずか14.9%です。相談件数が増加している理由は,警察等が多くなっているからだということがわかるでしょう。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題142 「平成28年度福祉行政報告例」(厚生労働省)における児童相談所の相談に関する統計の説明のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 児童相談所が対応した児童虐待相談件数は,10万件を超えている。
2 児童相談所が対応した虐待相談を虐待種別でみると,身体的虐待が最も多い。
3 児童相談所が対応した相談のうち,児童福祉法に基づく入所措置をとったものは3割程度である。
4 児童相談所が受け付けた相談の相談経路は,学校が最も多い。
5 児童相談所が受け付けた障害相談の内訳でみると,肢体不自由相談が最も多い。
かなり古い統計ですが,傾向は今とまったく同じです。
それでは解説です。
1 児童相談所が対応した児童虐待相談件数は,10万件を超えている。
これが正解です。この年では12万件でした。
2 児童相談所が対応した虐待相談を虐待種別でみると,身体的虐待が最も多い。
当初は身体的虐待が多かったのですが,近年は心理的虐待が最も多くなっています。
その理由は,心理的虐待の定義が変わり,いよゆる面前DVやほかのきょうだいに対する虐待が心理的虐待とされるようになったからです。
3 児童相談所が対応した相談のうち,児童福祉法に基づく入所措置をとったものは3割程度である。
入所措置をとったのは,5%もありません。
4 児童相談所が受け付けた相談の相談経路は,学校が最も多い。
相談経路で最も多いのは,警察等です。約半数が警察等です。
5 児童相談所が受け付けた障害相談の内訳でみると,肢体不自由相談が最も多い。
最も多いのは,知的障害相談です。