ハロー効果は,後光効果,背光効果などと訳されます。
後光が指す
という慣用句は,「神々しく感じる」といった意味合いで用いられます。
ハロー効果とは,人のある部分の評価がほかの部分にも影響することです。
つまり,その人が正しく見えていない状態をいいます。
良い部分に着目すると本来よりも全体の評価が上がり,悪い部分に着目すると評価が下がります。
人事評価する際,ハロー効果が生じないようにしなければなりません。
中心化傾向とは,たとえば,「とても良い」「良い」「普通」「悪い」「とても悪い」という5つの段階である「5件法」で評価する際,「とても良い」「とても悪い」という評価は付けにくい傾向のことです。
それでは今日の問題です。
第31回・問題125 人事管理に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 目標管理制度で部下が目標を設定する際は,チームや組織の目標とは無関係に,部下の個人的な目標を設定するのが原則である。
2 ダイバーシティ・マネジメントにおいては,人材の多様性は組織に様々な価値や利益をもたらすと考えられている。
3 成果主義による人事評価とは,職員の潜在能力に着目して,処遇や昇進などの評価に差をつけることをいう。
4 人事評価におけるハロー効果とは,評価が標準・普通に集中することをいう。
5 職務給とは,組織内の職位と年齢に応じて,職員の給与に格差を設ける給与をいう。
難しそうに見えますが,この問題ではある部分に気が付けば,正解するのはそれほど難しくない問題です。
それでは解説です。
1 目標管理制度で部下が目標を設定する際は,チームや組織の目標とは無関係に,部下の個人的な目標を設定するのが原則である。
個人目標は,組織の目標に合わせて設定します。
2 ダイバーシティ・マネジメントにおいては,人材の多様性は組織に様々な価値や利益をもたらすと考えられている。
これが正解です。
今の参考書にダイバーシティ・マネジメントは載っていると思いますが,その時点ではまだ掲載されていませんでした。
それでもこの文章が正解だと思えるのは,人材の多様性は組織に様々な価値や利益をもたらすのは良いことだからです。
有意義な情報です。
試験では覚えていて有意義な情報になるものを正解とする傾向にあります。
ここに気がつくことができるようになれば,得点力が増します。
3 成果主義による人事評価とは,職員の潜在能力に着目して,処遇や昇進などの評価に差をつけることをいう。
成果主義は,潜在能力ではなく,実際に現われた成果を評価するものです。
4 人事評価におけるハロー効果とは,評価が標準・普通に集中することをいう。
ハロー効果は,人のある部分の評価がほかの部分にも影響することです。
評価が標準・普通に集中することは,中心化傾向です。
5 職務給とは,組織内の職位と年齢に応じて,職員の給与に格差を設ける給与をいう。
組織内の職位と年齢に応じて,職員の給与に格差を設ける給与体系は,職能給です。
職務給は,仕事の内容に応じた給与体系です。