2022年7月16日土曜日

介護保険制度の包括的支援事業

 介護保険制度の地域支援事業は,


①介護予防・日常生活支援総合事業

②包括的支援事業

③任意事業


があります。前回まで数回にわたって「①介護予防・日常生活支援総合事業」を取り上げてきました。


今回は,「②包括的支援事業」です。

地域包括支援センター事業

介護予防ケアマネジメント業務

要支援者(予防給付を利用しない場合),基本チェックリスト該当者に対する訪問型サービス,通所型サービス,その他の生活支援サービス等のケアマネジメント。

総合相談・支援業務

高齢者の相談受付・支援等。

権利擁護業務

高齢者の権利擁護の支援,虐待防止等。

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

社会資源を活用したケアマネジメント体制の構築。

地域の介護支援専門員の資質向上のための後方支援。

在宅医療・介護連携推進事業

高齢者などが医療機関を退院する際における医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介など。

生活支援体制整備事業

生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)及び生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場としての協議体の設置。

認知症総合支援事業

認知症初期集中支援チーム編成と認知症地域支援推進員の配置。

地域ケア会議推進事業

地域包括ケアシステム構築に向けた多職種で協働し地域課題を地域づくりや政策形成などを行う地域ケア会議を推進する事業。




全部で8つもあるので覚えるのは大変です。

しかし,事業名はその内容を示しているので,おおよそこんな内容のものがあったということがわかっていれば国家試験では対応可能です。

問題の中に答えが必ずあるからです。



それでは,今日の問題です。



第29回・問題131 介護保険制度の地域支援事業における包括的支援事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 総合相談支援業務では,日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などが行われる。

2 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では,地域内の要介護者などやその家族に対し,日常的な介護予防に関する個別指導や相談などが実施される。

3 在宅医療・介護連携推進事業では,高齢者などが医療機関を退院する際,必要に応じ,医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などが行われる。

4 生活支援体制整備事業では,生活支援コーディネーターと生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場として,地域ケア会議が設置される。

5 認知症総合支援事業では,民生委員や地域内のボランティアによる認知症初期集中支援チームが設置される。





今,改めて問題を見ると知識があるのでそれほど難しくはないですが,この問題が出題された当時は,とてつもなく難しい問題に思えました。

こんなところまで出題するのか,と思ったものです。

第28回国試では地域支援事業が出題されていましたが,地域支援事業は,地域包括支援センター以外はノーマークだった人が多かったのではないかと思います。

近年では,介護給付の内容よりもむしろ地域支援事業の出題が出題されています。

それでは,解説です。





1 総合相談支援業務では,日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などが行われる。


日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などを行うのは,権利擁護業務です。

総合相談支援業務は,地域内の要介護者などやその家族に対し,日常的な介護予防に関する個別指導や相談などを行うものです。


2 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では,地域内の要介護者などやその家族に対し,日常的な介護予防に関する個別指導や相談などが実施される。


地域内の要介護者などやその家族に対し,日常的な介護予防に関する個別指導や相談などを実施するのは,総合相談業務です。

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は,社会資源を活用したケアマネジメント体制の構築,地域の介護支援専門員の資質向上のための後方支援などを行います。


3 在宅医療・介護連携推進事業では,高齢者などが医療機関を退院する際,必要に応じ,医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などが行われる。

これが正解です。


在宅医療・介護連携推進事業は,高齢者などが医療機関を退院する際,必要に応じ,医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などを行うものです。


4 生活支援体制整備事業では,生活支援コーディネーターと生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場として,地域ケア会議が設置される。

生活支援体制整備事業で設置されるのは,協議体です。


5 認知症総合支援事業では,民生委員や地域内のボランティアによる認知症初期集中支援チームが設置される。


認知症総合支援事業によって,認知症初期集中支援チームが設置されるのは,適切ですが,構成メンバーは医療,保健,福祉などの専門職です。

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