2022年7月13日水曜日

2014年(平成26年)の介護保険法改正

 2014年(平成26年)の介護保険法の改正は「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保法)によって行われています。


この改正では,「地域包括ケアシステムの構築」と「費用負担の公平化」が目指されています。


地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の充実

・在宅医療・介護連携の推進

・認知症施策の推進

・地域ケア会議の推進

・生活支援サービスの充実・強化

全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行


この時に創設された事業は

包括的支援事業の「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症施策推進事業」「生活支援体制整備事業」です。


認知症施策推進事業は,前回取り上げた「認知症初期集中支援チーム」などがあります。


今回は,生活支援体制整備事業です。


資料でわかるように,生活支援体制整備事業では,生活支援コーディネーターの配置,協議体の設置などが行われています。


それでは,今日の問題です。


第28回・問題35 2014年(平成26年)の介護保険法の改正に伴って設けられた地域に関係する主体の記述として,正しいものを1つ選びなさい。

1 「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)は,サービス提供主体の間の連携を推進するとともに,新たなサービスを創出する役割を期待されている。

2 介護支援専門員は,生活支援・介護予防に関する多様な関係主体間の定期的な情報収集及び連携・協働による取組を推進することが求められている。

3 介護予防・日常生活支援総合事業では,住民,NPOなどの多様な主体による自主的な活動は想定されていない。 

4 「認知症初期集中支援チーム」は,認知症サポーターから構成されている。

5 地域ケア会議では,地域包括支援センターと連携して都道府県レベルで,多職種協働による地域のネットワークを構築することが求められている。


答えはすぐわかると思いますが,選択肢1です。


1 「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)は,サービス提供主体の間の連携を推進するとともに,新たなサービスを創出する役割を期待されている。


生活支援コーディネーターは,資源開発,ネットワーク構築,ニーズと取り組みのマッチングを行います。


生活支援コーディネーターは,特定の資格要件を定めていません。しかし市民活動への理解があり,多様な理念をもつ地域のサービス提供主体と連絡調整できる立場の者であって,国や都道府県が実施する研修を修了した者が望ましい,とされています。


それではほかの選択肢も確認します。


2 介護支援専門員は,生活支援・介護予防に関する多様な関係主体間の定期的な情報収集及び連携・協働による取組を推進することが求められている。


生活支援・介護予防に関する多様な関係主体間の定期的な情報収集及び連携・協働による取組を推進することが求められているのは,生活支援体制整備事業で設置される協議体です。


設置主体は市町村で,構成メンバーは,行政機関,生活支援コーディネーター,地域の関係者などです。


3 介護予防・日常生活支援総合事業では,住民,NPOなどの多様な主体による自主的な活動は想定されていない。


総合事業の生活支援・介護予防サービスは,住民主体,NPO,民間企業等多様な主体によるサービス提供が想定されています。


4 「認知症初期集中支援チーム」は,認知症サポーターから構成されている。


認知症初期集中支援チームは,専門職によるチームです。市民である認知症サポーターは専門職ではありません。


つまり認知症サポーターは,認知症初期集中支援チームのメンバーではありません。


5 地域ケア会議では,地域包括支援センターと連携して都道府県レベルで,多職種協働による地域のネットワークを構築することが求められている。


地域ケア会議は市町村が設置するものです。そこから想像できると思いますが,都道府県レベルではなく,市町村レベルで地域のネットワークを構築します。

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