2022年7月2日土曜日

福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針~利用者の笑顔と満足を求めて~

厚生労働省では,平成14年3月に「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針~利用者の笑顔と満足を求めて~」という指針を発表しています。


https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/04/h0422-2.html


これが国家試験に出題されたことがあります。


そういった出題があると「こんなものまで知っておかなければならないのか」と思うかもしれません。


しかし,新しいものならともかく,こんなに古い資料をもってきた理由は,知らなくても解けると考えているからです。


その理由はわかりますか?


現在となっては,現場のスタンダードとなっているはずだからです。


〈重要なこと〉

当たり前のことを当たり前だと思えること。

自分の常識を信じることができること。


これを心がけるとつまらないミスを防ぐことができます。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題122 「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針~利用者の笑顔と満足を求めて~」(厚生労働省)の内容に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 利用者の自立的な生活を重視するほどリスクは高まるため,利用者の自由を制約するのはやむを得ない。

2 標準化されたサービスよりも,各職員の経験と勘に頼ったサービスの方が,業務改善や事故の原因の特定が行いやすい。

3 より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる,という考え方で危機管理に取り組むべきである。

4 利用者の状況や施設環境等の個別性が高いため,各施設において十分な検討と創意工夫が必要である。

5 リスクマネジメントは職員全体で取り組むべきことなので,経営者の強いリーダーシップは不要である。


この指針を知らない,困った,と思う人はまじめに勉強を続けてきた人です。


この問題は,「指針」の内容を問うものです。


指針は,方向性を示すものです。


その観点から考えた場合,おそらく指針に含まれないだろう,と推測できるものがあります。


1 利用者の自立的な生活を重視するほどリスクは高まるため,利用者の自由を制約するのはやむを得ない。

2 標準化されたサービスよりも,各職員の経験と勘に頼ったサービスの方が,業務改善や事故の原因の特定が行いやすい。

5 リスクマネジメントは職員全体で取り組むべきことなので,経営者の強いリーダーシップは不要である。


迷うのは,選択肢5ではないかと思います。


経営者のリーダーシップがなくても,職員がしっかりやっていれば,安心安全で質の高いサービスを提供することはできるでしょう。


しかし,そんな組織にずっといたいと思いますか。


この考え方がとても重要です。


判断に困る時は,自分や自分の周りに置き換えて考えることです。


正解は,


3 より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる,という考え方で危機管理に取り組むべきである。

4 利用者の状況や施設環境等の個別性が高いため,各施設において十分な検討と創意工夫が必要である。


先の3つの文章とは明らかに異なります。

いかにも指針という感じがするでしょう。

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