高齢者福祉制度の歴史については,第22回以降は,以下の回に出題されています。
実施回 |
出題の有無 |
22 |
〇 |
23 |
× |
24 |
〇 |
25 |
× |
26 |
〇 |
27 |
× |
28 |
〇 |
29 |
〇 |
30 |
〇 |
31 |
〇 |
32 |
〇 |
33 |
〇 |
34 |
〇 |
出題確率 |
76.9% |
出題確率は,76.9%ですが第28回以降は毎年出題されています。
歴史を覚えるのは面白くないと思う人も多いようですが,かなりの確率で出題されているので,覚えたほうが良いです。そう思いませんか。
特に覚えておきたいのは,老人福祉法の変遷です。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題126 日本における高齢者の保健・福祉に係る政策に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 老人福祉法制定前の施策として,生活保護法に基づく特別養護老人ホームでの保護が実施されていた。
2 老人福祉法の一部改正により実施された老人医療費支給制度では,65歳以上の高齢者の医療費負担が無料化された。
3 老人医療費支給制度による老人医療費の急増等に対応するため,老人保健法が制定された。
4 高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)の中で,老人保健福祉計画の策定が各地方自治体に義務づけられた。
5 介護保険法の制定により,それまで医療保険制度が担っていた高齢者医療部分は全て介護保険法に移行した。
特に注意したいのは,老人福祉法に規定されている養護老人ホームです。
それでは解説です。
1 老人福祉法制定前の施策として,生活保護法に基づく特別養護老人ホームでの保護が実施されていた。
現在の養護老人ホームは,救護法で「養老院」,生活保護法で「養老施設」と変遷しています。
老人福祉法の成立にともない,保護施設から,老人福祉施設の「養護老人ホーム」となりました。
この流れから,現在の入所要件でも「経済的理由」があります。
特別養護老人ホームは,老人福祉法の成立に伴って,創設されたものです。
特別養護老人ホームの入所要件は,「身体上又は精神上著しい障害があること」です。
2 老人福祉法の一部改正により実施された老人医療費支給制度では,65歳以上の高齢者の医療費負担が無料化された。
老人医療費の無料化は,今日のテーマです。
1973(昭和48)年の老人福祉法の改正によって,70歳以上の医療費が無料化されました。
3 老人医療費支給制度による老人医療費の急増等に対応するため,老人保健法が制定された。
これが正解です。1973(昭和48)年に老人医療費は無料化されましたが,1982(昭和57)年に老人保健法が制定されて一部負担が生まれました。
現在の自己負担は定率ですが,この時点では定額でした。
4 高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)の中で,老人保健福祉計画の策定が各地方自治体に義務づけられた。
老人保健福祉計画の策定が義務づけられたのは,1990(平成2)年の福祉関係八法改正の時です。
老人福祉法では老人福祉計画,老人保健法では老人保健計画の策定がそれぞれ義務化されて,一体のものとして策定されることから「老人保健福祉計画」と呼ばれました。
老人保健法が「高齢者の医療の確保に関する法律」に改正された際,老人保健計画の策定義務はなくなりました。
この時に後期高齢者医療制度が創設されました。
5 介護保険法の制定により,それまで医療保険制度が担っていた高齢者医療部分は全て介護保険法に移行した。
療養病床は,介護保険適用と医療保険適用に分かれて,介護保険適用の介護療養病床は,介護保険法に移行しましたが,医療保険適用の医療療養病床は,そのまま残って現在に至ります。
介護保険適用の介護療養病床は2024(令和6)年3月に完全に廃止され,変わって,介護医療院が介護保険施設となっています。