グループワークは以下の過程で実施されます。
準備期
ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階です。
この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。
開始期
メンバーが集まって,グループワークを始める前までの段階です。
この段階には「契約」と呼ばれるワーカーの役割などをメンバーに説明する段階が含まれます。グループワークでの約束事などを確認し,援助関係をつくります。
作業期
ワーカーとメンバーが課題解決に向けて,活動を行う段階です。
この段階では,グルーブの仲間意識が生じたり,対立したりすることもあります。
しかし,これらはグルーブダイナミクス(集団力学)を活用したグループワークでは重要な意味を持ちます。
終結期
グループワークを終える段階です。振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。そのため,移行期とも言われます。
それでは今日の問題です。
第34回・問題111
グループワークの展開過程におけるソーシャルワーカーの対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 準備期では,情報収集のため,メンバーを一つのグループとして集め,活動を開始する。
2 開始期では,援助の枠組みを明確にする必要がないので,メンバーの行動に対して制限を加えることは避ける。
3 作業期では,メンバーを同化させ,メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する。
4 作業期では,メンバーがソーシャルワーカーの指示に従って,目標達成に向けて課題に取り組んでいけるよう促す。
5 終結期では,メンバーがグループ体験を振り返り,感情を分かち合えるように援助する。
この問題の中で,特に注意しなければならないものがあります。
3 作業期では,メンバーを同化させ,メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する。
作業期に生じる対立や葛藤は,グループメンバーが成長するための重要な場面となります。
グループワークの事例問題では,この問題と同じように「メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する」と出題されることがありますが,それは不適切です。
この問題の正解は,選択肢5です。
5 終結期では,メンバーがグループ体験を振り返り,感情を分かち合えるように援助する。
終結期では,振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。