2023年8月10日木曜日

グループワークの展開過程~その1

グループワークは以下の過程で実施されます。


準備期
ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階です。
この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。

開始期
メンバーが集まって,グループワークを始める前までの段階です。
この段階には「契約」と呼ばれるワーカーの役割などをメンバーに説明する段階が含まれます。グループワークでの約束事などを確認し,援助関係をつくります。

作業期
ワーカーとメンバーが課題解決に向けて,活動を行う段階です。
この段階では,グルーブの仲間意識が生じたり,対立したりすることもあります。
しかし,これらはグルーブダイナミクス(集団力学)を活用したグループワークでは重要な意味を持ちます。

終結期
グループワークを終える段階です。振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。そのため,移行期とも言われます。


それでは今日の問題です。

 

34回・問題111 

グループワークの展開過程におけるソーシャルワーカーの対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 準備期では,情報収集のため,メンバーを一つのグループとして集め,活動を開始する。

2 開始期では,援助の枠組みを明確にする必要がないので,メンバーの行動に対して制限を加えることは避ける。

3 作業期では,メンバーを同化させ,メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する。

4 作業期では,メンバーがソーシャルワーカーの指示に従って,目標達成に向けて課題に取り組んでいけるよう促す。

5 終結期では,メンバーがグループ体験を振り返り,感情を分かち合えるように援助する。

 

 

この問題の中で,特に注意しなければならないものがあります。

 

3 作業期では,メンバーを同化させ,メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する。

 

作業期に生じる対立や葛藤は,グループメンバーが成長するための重要な場面となります。

 

グループワークの事例問題では,この問題と同じように「メンバー同士の対立や葛藤が生じないように援助する」と出題されることがありますが,それは不適切です。

 

この問題の正解は,選択肢5です。

5 終結期では,メンバーがグループ体験を振り返り,感情を分かち合えるように援助する。

 

終結期では,振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。

最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事