今日のテーマは,
システム理論における「連続」の捉え方
です。
ソーシャルワークにおけるシステム理論は,人は環境との交互作用を行っていると考えます。
人は環境に影響を与え,環境は人に影響を与えます。
システムは,システムとして,独立して存在しているのではなく,システムはほかのシステムとつながっている,それを「連続」という表現をします。
システム理論は,前回取り上げた「円環的」といった独特な表現が多いこともあり,難しく感じる人も多いようですが,システム理論がどんなものなのかが理解できていれば,多くの問題に対応可能です。
それでは今日の問題です。
第34回・問題98
システム理論に基づくソーシャルワークの対象の捉え方に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 家族の様々な問題を家族成員同士の相互関連性から捉える。
2 個人の考え方やニーズ,能力を固定的に捉える。
3 個人や家族,地域等を相互に影響し合う事象として連続的に捉える。
4 問題解決能力を個人の生得的な力と捉える。
5 生活問題の原因を個人と環境のどちらかに特定する。
答えを2つ選ぶ問題は面倒ですが,この問題の場合は,正解以外の選択肢は明らかにシステム理論ではないので,消去法で答えられるかもしれません。
〈明らかにシステム理論ではないもの〉
2 個人の考え方やニーズ,能力を固定的に捉える。
4 問題解決能力を個人の生得的な力と捉える。
5 生活問題の原因を個人と環境のどちらかに特定する。
選択肢2と3は,いずれも人と環境との交互作用によって変化していくというシステム理論の考え方とは,明らかに逆です。
選択肢5は,前回紹介したように,システム理論では,原因と結果が明確ではなく,円環的に循環していると考えるものとは異なります。
原因を特定するのは,医学モデルです。
ということで,正解は,選択肢1と3です。
1 家族の様々な問題を家族成員同士の相互関連性から捉える。
3 個人や家族,地域等を相互に影響し合う事象として連続的に捉える。
ここで,今日のテーマである
システム理論における「連続」の捉え方
の答えが出ました。
システム理論における「連続」とは,人と環境は互いに影響を与えるものである,という意味となります。
前回の問題では,
3 家族の内と外は,区別されず連続している。
と出題されて,誤りでした。連続しているととらえるのは適切ですが,「区別されない」という適切ではなく,「人」と「環境」は区別されるものだということなのでしょう。
そうでなれば,交互作用ということを説明できなくなってしまいます。
実際にはあり得ない話ですが,「私」と「あなた」が全く同じ(クローン状態)であれば,「私」に「あなた」に影響を与えることもないですし,「私」が「あなた」に影響を受けることもないからです。