前回に引き続き今回もバウンダリーを取り上げます。
まずは,バウンダリーの復習です。
https://fukufuku21.blogspot.com/2023/07/blog-post_31.html
それでは,今日の問題です。
精神保健福祉士・第19回・問題21
精神科病院を退院したAさんは,次第に昼夜逆転した生活となり,バランスの取れた食事もできていない状況にあった。精神科病院のB精神保健福祉士は,受診時にAさんと相談室で面接を行い,生活のリズムを整えることがAさんのために必要だと考え,デイケアの利用を勧めた。しかし,Aさんは,「デイケアには行きたくない。自分は退院しているし,やりたいことがある」と語った。B精神保健福祉士はAさんの思いを聞きつつも,Aさんの生活に不安を感じ,これからどのように関わっていけばよいか悩んだ。
次のうち,B精神保健福祉士が抱く倫理的ジレンマとして,適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントの利益と所属機関の利益
2 秘密保持とプライバシー
3 自己決定とパターナリズム
4 バウンダリーとクライエントの利益
5 専門職的価値と個人的価値
事例の内容は,前回の問題とは異なりますが,各選択肢の内容は,順番が異なるだけでまったく一緒です。
〈前回の問題の各選択肢〉
1 自己決定とパターナリズム
2 専門職的価値と個人的価値
3 バウンダリーとクライエントの利益
4 クライエントの利益と所属機関の利益
5 秘密保持とプライバシー
選択肢が一緒なのは手抜き問題のようにも感じますが,もしかすると社会福祉士の問題よりも洗練された選択肢の組み合わせだからなのかもしれません。
またまた,倫理的ジレンマの問題を解くときの公式を引っ張り出します。
相反する2つの事柄の間で専門職としてのジレンマを生じるのが倫理的ジレンマです。
この事例の相反する事柄は,
A:デイケアには行きたくない。自分は退院しているし,やりたいことがある。
B:整えることがAさんのために必要である。
AとBを事例に当てはめると
3 自己決定とパターナリズム
となります。
デイケアには行きたくない。自分は退院しているし,やりたいことがある。
➡ 自己決定
B:生活のリズムを整えることがAさんのために必要である。
➡ パターナリズム
バウンダリーが倫理的ジレンマとなるのは?
ソーシャルワークにおいて,最も優先されるのは,クライエント及び周りの人の生命の安全です。
バウンダリーが倫理的ジレンマとなるとすると,クライエントの自己決定にゆだねると生命に危険があるのに,NOと言えない,などが考えられます。
ほかには,
・自分に責任が生じるのが怖いために,クライエントの自己決定にゆだねる。
・クライエントの強い態度に威圧され,クライエントの言いなりになってしまう。
などもあるでしょう。
バウンダリーは,とても広い概念なので,事例問題でバウンダリーを正解にすることは少ないだろうと思います。しかし覚えておきたいです。