母子保健法に規定される母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)は,母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関する包括的な支援を行うことを目的として,以下の業務を行います。
母子健康包括支援センターの業務
・母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関する支援に必要な実情の把握。 ・母子保健に関する各種の相談に応じる。 ・母性並びに乳児及び幼児に対する保健指導。 ・母性及び児童の保健医療又は福祉に関する機関との連絡調整その他母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進に関し,厚生労働省令で定める支援。 ・健康診査,助産その他の母子保健に関する事業。 |
近年では,安心・安全で健やかな妊娠・出産・産後を支援するために母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)を中心として,以下の業務を行っています。
産前・産後サポート事業
妊娠・出産や子育てに関する悩みを抱える妊産婦等に対して,地域の子育て経験者やシニア世代の人たちなどが,気軽に話し相手になって相談に応じるなどの支援を行う。
産後ケア事業
退院直後の母子に対して,短期入所,通所又は居宅訪問の形態により,助産師等が心身のケアや育児のサポートを行う。
令和元年の母子保健法改正によって,市町村に実施の努力義務化。
若年妊婦等支援事業
予期せぬ妊娠等により,身体的,精神的な悩みや不安を抱えた若年妊婦等への身近な地域での支援として,NPO等も活用して,
①アウトリーチやSNS等による相談支援。
②不安や金銭面の心配から医療機関受診を躊躇する特定妊婦等に対して,支援者が産科受診に同行するとともに,受診費用を補助する。
③行き場のない若年妊婦等に,緊急一時的な居場所を提供する。
(※本事業の実施主体は,都道府県,指定都市,中核市)
それでは,今日の問題です。
第34回・問題139
事例を読んで,T市母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)のE相談員(社会福祉士)の支援に関する次の記述のうち,この段階における対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
若年妊婦等支援事業の担当者であるE相談員は,お腹の大きいFさん(19歳)から相談を受けた。Fさんは,両親との関係が悪く友人宅を転々としており,「妊娠していると思うが,交際相手とは別れてしまい,頼れる人はいない」「自分はどうしたらよいか分からない」「子どもを産んで育てる自信がない」「仕事もしておらず,経済的にも苦しい」と語った。
1 緊急一時的な居場所として宿泊施設等の利用を提案する。
2 出産や子育てには両親の手助けが必要であり,まずは家に戻るよう促す。
3 母親になる自覚を持つよう促す。
4 出産費用の捻出が求められるため就労支援を図る。
5 産科受診の同行支援ができることを伝える。
若年妊婦等支援事業を知らなくても,事例を丁寧に読めば正解できる問題です。
答えは,
1 緊急一時的な居場所として宿泊施設等の利用を提案する。
5 産科受診の同行支援ができることを伝える。
そのほかは,知識がなくても消去できるはずです。