2023年8月4日金曜日

ソーシャルワークのアプローチの押さえ方

 

・心理社会的アプローチ

 「状況の中の人」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わっていく。

 

・機能的アプローチ

 ワーカーの所属する機関の機能を活用して,クライエントの意志で問題解決できるように援助する。

 

・問題解決アプローチ      

 クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する。

 

・課題中心アプローチ

 クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

 

・危機介入アプローチ

 危機状態に陥っている人に対して早期にかかわり,危機に対して対処能力を高める。

 

・行動変容アプローチ

 学習理論を活用して,クライエントの問題となる行動を消去や強化することにより,問題行動全体の変容を図る。

 

・エンパワメントアプローチ

 クライエントが抑圧された状況を認識して,潜在能力に気づいて,対処能力を高められるようにかかわる。

 

・ナラティブアプローチ

 クライエントが語るストーリーを重視して,新たな意味の世界を創り出すことを援助する。

 

・解決志向アプローチ

 クライエントが抱く解決のイメージを尊重し,その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。

 

・フェミニストアプローチ

 女性にとっての差別や抑圧などの社会的な現実を顕在化させ,個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。

 

・実存主義アプローチ

 利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。

 

・エコロジカルアプローチ

 「人と環境」の交互作用に着目して援助する。

 

 

アンダーラインを引いたところが特に特徴的な部分です。

 

それでは,今日の問題です。

 

25回・問題103 

 ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 危機介入アプローチは,急性の心理的危機状態にあるクライエントに対して,新しい対処パターンを教示しつつ,長期処遇で対処能力を強化する。

2 実存主義アプローチは,実存主義思想による概念を用いて,クライエントが自らの存在意味を把握し,自己を安定させることで,疎外からの解放を目指す。

3 行動変容アプローチは,学習理論をソーシャルワーク理論に導入したもので,クライエントのコンピテンスの消去や強化により,問題行動全体の変容を図る。

4 解決志向アプローチは,社会変革のために,ソーシャルワーカーが解決イメージを提示しながら,解決方法を構築する。

5 フェミニストアプローチは,女性が体験している現実を自ら認識させ,個人が抱える問題の解決を意図した治療的なかかわりを支援の焦点とする。

 

ソーシャルワークのアプローチは,毎回必ず出題されているので,確実に覚えて国試に臨みたいものです。

 

それでは,解説です。

 

1 危機介入アプローチは,急性の心理的危機状態にあるクライエントに対して,新しい対処パターンを教示しつつ,長期処遇で対処能力を強化する。

 

危機介入アプローチは,短期処遇です。

 

2 実存主義アプローチは,実存主義思想による概念を用いて,クライエントが自らの存在意味を把握し,自己を安定させることで,疎外からの解放を目指す。

 

これが正解です。

 

実存主義アプローチは,出題頻度は低いものの,現代社会においてはとても重要なものではないかと思います。

 

3 行動変容アプローチは,学習理論をソーシャルワーク理論に導入したもので,クライエントのコンピテンスの消去や強化により,問題行動全体の変容を図る。

 

行動変容アプローチは,学習理論を活用したものであることは適切ですが,消去するのは,問題となる行動です。

 

 

4 解決志向アプローチは,社会変革のために,ソーシャルワーカーが解決イメージを提示しながら,解決方法を構築する。

 

解決志向アプローチでは,ソーシャルワーカーが解決イメージを提示するのは適切ですが,目的は,クライエントの問題の解決です。

 

社会変革というマクロではなく,ミクロソーシャルワークです。

 

5 フェミニストアプローチは,女性が体験している現実を自ら認識させ,個人が抱える問題の解決を意図した治療的なかかわりを支援の焦点とする。

 

フェミニストアプローチは,選択肢4と異なり,クライエントが女性であることで抑圧されている状況に気づき,エンパワメントすることと,さらには状況の社会変革を目指すアプローチです。

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