ソーシャルワーク系の問題は勉強せずとも正解できると思っている人は,痛い目に遭うことでしょう。
それは事例問題も同じです。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題101
事例を読んで,この場面における解決志向アプローチに基づくFスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Gちゃん(9歳,女児)には,1年ほど前から不登校の傾向が見られる。Fスクールソーシャルワーカーは,Gちゃん宅を訪問し,Gちゃんやその母親と2週間に1回程度の定期的な面接を行っていた。しかし,登校できる日数が徐々に減ってきた。Gちゃんは学校に行きたいと思っているが,朝起きると身体が動かず,登校することができないとのことであった。
1 Gちゃんが学校に行くことのできない原因の分析を行った。
2 Gちゃんに,変える必要のある考え方や行動について伝えた。
3 Gちゃん自身ではなく,家族の問題の克服を目指した。
4 Gちゃんに,学校に行き授業を受ける必要性を強く意識させた。
5 Gちゃんが学校に行くことのできた日の状況や行動に焦点を当てた。
この問題は「解決志向アプローチに基づく」ものでなければなりません。
解決志向アプローチは,短期療法(ブリーフセラピー)を基盤とするもので,問題自体の解決を目指すのではなく,例外探し,コーピングクエスチョン,ミラクルクエスチョンなどを用いて,クライエントのリソース(能力,強さ,可能性等)を引き出すように援助していくものです。
たとえば,
こんなに大変な状況を乗り越えてくることができたのは,どうしてなのでしょうか。
という質問は,サバイバルクエスチョンです。
クライエントが今まで困難を乗り越えてきたという強みに気づき,まだ頑張れそうだ,と思えるような質問です。
解決志向アプローチの問題を確実に正解するためには,こういった技法を覚えることが欠かせません。
それでは解説です。
1 Gちゃんが学校に行くことのできない原因の分析を行った。
原因の分析を行うのは,医学モデルを基盤とするアプローチです。
たとえば,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチなどが該当します。
2 Gちゃんに,変える必要のある考え方や行動について伝えた。
考え方や行動を変えるのは,学習理論に基づく行動変容アプローチです。
3 Gちゃん自身ではなく,家族の問題の克服を目指した。
家族の問題の克服を目指したというのは,家族システムズアプローチということができますが,イコールとは言えません。
家族システムの変容を通して,Gちゃん自身の問題も変容していくのが家族システムズアプローチだからです。
4 Gちゃんに,学校に行き授業を受ける必要性を強く意識させた。
Gちゃんに,学校に行き授業を受ける必要性を強く意識させるのは,ソーシャルワークの技法にありません。
5 Gちゃんが学校に行くことのできた日の状況や行動に焦点を当てた。
これが正解です。
Gちゃんが学校に行けたことに着目するのは,解決志向アプローチの「例外探し」にあたります。