2023年8月6日日曜日

解決志向アプローチの事例問題~その1

 ソーシャルワーク系の問題は勉強せずとも正解できると思っている人は,痛い目に遭うことでしょう。


それは事例問題も同じです。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題101

事例を読んで,この場面における解決志向アプローチに基づくFスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応方法として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Gちゃん(9歳,女児)には,1年ほど前から不登校の傾向が見られる。Fスクールソーシャルワーカーは,Gちゃん宅を訪問し,Gちゃんやその母親と2週間に1回程度の定期的な面接を行っていた。しかし,登校できる日数が徐々に減ってきた。Gちゃんは学校に行きたいと思っているが,朝起きると身体が動かず,登校することができないとのことであった。

1 Gちゃんが学校に行くことのできない原因の分析を行った。

2 Gちゃんに,変える必要のある考え方や行動について伝えた。

3 Gちゃん自身ではなく,家族の問題の克服を目指した。

4 Gちゃんに,学校に行き授業を受ける必要性を強く意識させた。

5 Gちゃんが学校に行くことのできた日の状況や行動に焦点を当てた。


この問題は「解決志向アプローチに基づく」ものでなければなりません。


解決志向アプローチは,短期療法(ブリーフセラピー)を基盤とするもので,問題自体の解決を目指すのではなく,例外探し,コーピングクエスチョン,ミラクルクエスチョンなどを用いて,クライエントのリソース(能力,強さ,可能性等)を引き出すように援助していくものです。


たとえば,


こんなに大変な状況を乗り越えてくることができたのは,どうしてなのでしょうか。


という質問は,サバイバルクエスチョンです。


クライエントが今まで困難を乗り越えてきたという強みに気づき,まだ頑張れそうだ,と思えるような質問です。


解決志向アプローチの問題を確実に正解するためには,こういった技法を覚えることが欠かせません。


それでは解説です。


1 Gちゃんが学校に行くことのできない原因の分析を行った。


原因の分析を行うのは,医学モデルを基盤とするアプローチです。

たとえば,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチなどが該当します。


2 Gちゃんに,変える必要のある考え方や行動について伝えた。


考え方や行動を変えるのは,学習理論に基づく行動変容アプローチです。


3 Gちゃん自身ではなく,家族の問題の克服を目指した。


家族の問題の克服を目指したというのは,家族システムズアプローチということができますが,イコールとは言えません。


家族システムの変容を通して,Gちゃん自身の問題も変容していくのが家族システムズアプローチだからです。


4 Gちゃんに,学校に行き授業を受ける必要性を強く意識させた。


Gちゃんに,学校に行き授業を受ける必要性を強く意識させるのは,ソーシャルワークの技法にありません。


5 Gちゃんが学校に行くことのできた日の状況や行動に焦点を当てた。


これが正解です。

Gちゃんが学校に行けたことに着目するのは,解決志向アプローチの「例外探し」にあたります。

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