今回は,内閣府が所掌している子ども・子育て支援法を取り上げます。
子ども・子育て支援法が規定する「子ども・子育て支援給付」と「子ども・子育て支援事業」の実施主体は市町村です。
基本的な住民サービスを実施するのが市町村の役割です。
この法制度でも,この基本は同じです。
子ども・子育て支援法の概要
子ども・子育て支援給付 | 子どものための 現金給付 | 児童手当法に規定される児童手当の支給 | |
子どものための 教育・保育給付 | 施設型給付 | 認定こども園(4類型),幼稚園、保育所に対する給付 | |
地域型保育給付 | 小規模保育,家庭的保育,居宅訪問型保育,事業所内保育に対する給付 | ||
子育てのための施設等利用給付 | 子どものための教育・保育給付の対象外のもので,市町村が確認したものに対する給付。 | ||
地域子ども・子育て支援事業 | 利用者支援事業 | ||
地域子育て支援拠点事業 | |||
妊婦健康診査 | |||
乳児家庭全戸訪問事業 | |||
養育支援訪問事業・子どもを守る地域ネットワーク機能強化事業(その他要保護児童等の支援に資する事業) | |||
子育て短期支援事業 | |||
子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業) | |||
一時預かり事業 | |||
延長保育事業 | |||
病児保育事業 | |||
放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ) | |||
実費徴収に係る補足給付を行う事業 | |||
多様な主体が本制度に参入することを促進するための事業 |
支給対象
子どものための現金給付 | 15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童の保護者に支給。 |
子どものための教育・保育給付 | 小学校就学前子どもの保護者に支給。 |
子育てのための施設等利用給付 |
幼児教育・保育の無償化について
2019年10月から,幼児教育・保育が無償化されています。それは「子どものための教育・保育給付」と「子育てのための施設等利用給付」によるものです。
無償化の年齢区分
3歳から5歳までの子ども | すべての子どもが無料 |
0歳から2歳までの子ども | 住民税非課税世帯 |
それでは,今日の問題です。
第29回・問題136
子ども・子育て支援法に規定されていることとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 子ども・子育て支援給付の総合的・計画的実施は都道府県の責務である。
2 一般事業主は一般事業主行動計画を策定しなければならない。
3 病児保育事業は地域型保育事業の一つである。
4 子ども・子育て会議は厚生労働省に置く。
5 子どものための教育・保育給付は小学校就学前子どもの保護者に対して行う。
この時の国家試験を受験した人にとっては,とても難しかったことでしょう。
難しい問題は,ほかの人も解けないので,それほど気にすることはないように思います。
それでは解説です。
1 子ども・子育て支援給付の総合的・計画的実施は都道府県の責務である。
子ども・子育て支援法が規定する「子ども・子育て支援給付」と「子ども・子育て支援事業」の実施主体は市町村です。
2 一般事業主は一般事業主行動計画を策定しなければならない。
一般事業主行動計画を規定しているのは,次世代育成支援対策推進法です。
3 病児保育事業は地域型保育事業の一つである。
子ども・子育て支援法では,13種類の地域子ども・子育て支援事業を規定していますが,病児保育事業はその中の1つです。
こういった問題があると,地域子ども・子育て支援事業の13種類をすべて覚えておかなければならないのか,と思う人もいるでしょう。
もちろん覚えておくことに越したことはないでしょう。
しかし,それではあまりに非効率的です。
それよりも覚えておきたいのは,地域型保育事業とは何かです。
地域型保育事業
・家庭的保育
・小規模保育
・居宅訪問型保育
・事業所内保育
4 子ども・子育て会議は厚生労働省に置く。
子ども・子育て会議は,内閣府に置かれます。
なお,こども基本法が規定する「こども政策推進会議」は,こども家庭庁に置かれます。
こども基本法に関連する記事
https://fukufuku21.blogspot.com/2023/08/blog-post_27.html
5 子どものための教育・保育給付は小学校就学前子どもの保護者に対して行う。
これが正解です。
子どものための教育・保育給付がどのようなものなのかが理解できていれば,これを選べるのではないかと思います。