養護老人ホームは,老人福祉法ができる前は,生活保護法が規定する養老施設でした。
さらにさかのぼると,救護法の養老院が発祥です。
高齢者施策は,貧困者を対象としていたことがよくわかるのではないでしょうか。
老人福祉法によって,低所得者を対象とするようになり,介護保険法によって,一般所得階層を対象とするようになりました。
それでは今日の問題です。
第27回・問題135
老人福祉法に規定される養護老人ホームについての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 入所の要件は,要介護状態もしくは要支援状態であることとされている。
2 都道府県,市町村,社会福祉法人のほか,医療法人や民間営利法人も設置できる。
3 入所者の心身の状況等に応じて,社会復帰の促進及び自立のために必要な指導や訓練,その他の援助を行うこととされている。
4 入所者の居室1室当たりの定員は2人と定められている。
5 入所に当たっては,居住地の市町村と利用契約を締結する必要がある。
この問題の難易度は極めて高いと思います。
老人福祉法は,介護保険法に隠れた存在であることに加えて,養護老人ホームがいつ問丸ごと出題されることが極めて稀だからです。
それでは,解説です。
1 入所の要件は,要介護状態もしくは要支援状態であることとされている。
養護老人ホームの入所対象者は,65歳以上の者で,環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難なものです。
2 都道府県,市町村,社会福祉法人のほか,医療法人や民間営利法人も設置できる。
養護老人ホームは,社会福祉法の第一種社会福祉事業です。
第二種社会福祉事業ではないので,医療法人や民間営利法人などは設置することができません。
3 入所者の心身の状況等に応じて,社会復帰の促進及び自立のために必要な指導や訓練,その他の援助を行うこととされている。
これが正解です。
社会復帰の促進及び自立が規定されているところが特徴です。
この機会にしっかり覚えてしまいましょう。
4 入所者の居室1室当たりの定員は2人と定められている。
居室1室当たりの定員は1名,つまり個室が原則となっています。
今の時代です。措置施設であっても,さすがに1室2名ということはないようです。
5 入所に当たっては,居住地の市町村と利用契約を締結する必要がある。
養護老人ホームは,市町村長の措置によって利用します。
契約はしません。