今回も更生緊急保護を続けます。
保護観察に付されている者
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応急の救護
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保護観察に付されていない者
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更生緊急保護
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今日の問題は,これを覚えておくと正解できます。
第29回・問題148 更生緊急保護の対象者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。
5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。
更生緊急保護の対象は,保護観察に付されていない者です。
そこだけを着目しましょう。
正解は,選択肢4です。
4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。
仮釈放中の者は,必ず保護観察に付されます(3号観察)。
そのために,更生緊急保護の対象とはなりません。
もし,その必要がある場合は,「応急の救護」を受けることになります。
一応,ほかの選択肢も確認します。
1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
起訴されなかった者は,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
罰金刑の言渡しを受けた者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
ただし,執行猶予でも,保護観察付き執行猶予の場合は,更生緊急保護の対象とはなりません。
必要の場合は,「応急の救護」が行われます。
5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。
懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
<今日の一言>
今日の問題は,勉強不足の人はまず解けないでしょう。
うまく問題が作られていると思います。
更生緊急保護は,出題ポイントが決まっているので,得点しやすいものです。
更生緊急保護の出題ポイント
対象
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身体の拘束を解かれた者。
※保護観察に付されているものは対象外。
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内容
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金品,宿泊場所の供与など。
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実施
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本人の申し出によって,保護観察所の長が必要だと認めた場合。
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期間
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6か月を超えない範囲。必要がある場合は6か月を超えない範囲で延長することができる。
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方法
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保護観察所の長が自ら行うか,更生保護事業を営む者に委託して行う。
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更生緊急保護は,保護観察に付されている者を対象外としているのは,保護観察に付されている者には,「応急の救護」という制度があるからです。
「応急の救護」の保護の内容は,更生緊急保護と同じです。