2020年4月26日日曜日

更生緊急保護~その2


今回も更生緊急保護を続けます。

保護観察に付されている者
応急の救護
保護観察に付されていない者
更生緊急保護

今日の問題は,これを覚えておくと正解できます。


29回・問題148 更生緊急保護の対象者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。

5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。



更生緊急保護の対象は,保護観察に付されていない者です。

そこだけを着目しましょう。


正解は,選択肢4です。

4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。


仮釈放中の者は,必ず保護観察に付されます(3号観察)。

そのために,更生緊急保護の対象とはなりません。

もし,その必要がある場合は,「応急の救護」を受けることになります。


一応,ほかの選択肢も確認します。


1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

起訴されなかった者は,更生緊急保護の対象となる可能性があります。



2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

罰金刑の言渡しを受けた者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。



3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。

ただし,執行猶予でも,保護観察付き執行猶予の場合は,更生緊急保護の対象とはなりません。

必要の場合は,「応急の救護」が行われます。



5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。

懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。


<今日の一言>

今日の問題は,勉強不足の人はまず解けないでしょう。
うまく問題が作られていると思います。

更生緊急保護は,出題ポイントが決まっているので,得点しやすいものです。



更生緊急保護の出題ポイント

対象
身体の拘束を解かれた者。
※保護観察に付されているものは対象外。
内容
金品,宿泊場所の供与など。
実施
本人の申し出によって,保護観察所の長が必要だと認めた場合。
期間
6か月を超えない範囲。必要がある場合は6か月を超えない範囲で延長することができる。
方法
保護観察所の長が自ら行うか,更生保護事業を営む者に委託して行う。



更生緊急保護は,保護観察に付されている者を対象外としているのは,保護観察に付されている者には,「応急の救護」という制度があるからです。

「応急の救護」の保護の内容は,更生緊急保護と同じです。


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