今回は,仮釈放等の手続きについて,取り上げます。
更生保護法では,以下のように規定されています。
刑事施設の長又は少年院の長の役割
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(仮釈放及び仮出場の申出)
第三十四条 刑事施設の長又は少年院の長は、懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、前条の期間が経過し、かつ、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮釈放を許すべき旨の申出をしなければならない。
2 刑事施設の長は、拘留の刑の執行のため収容している者又は労役場に留置している者について、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮出場を許すべき旨の申出をしなければならない。
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前条の期間とは
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(成年)
改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一,無期刑については十年を経過していること。
(少年)
無期刑については七年,有期の刑については、その刑期の三分の一を経過していること。
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地方更生保護委員会の役割
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仮釈放を許し、又はその処分を取り消すこと。
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仮釈放の許否を行うのは,地方更生保護委員会ということになります。
それでは今日の問題です。
第22回・問題148 事例を読んで,この場合の法律関係に関する次の記述のうち,仮釈放の手続として,正しいものを一つ選びなさい。
〔事 例〕
裁判所によって3年の懲役刑の言渡しを受けた受刑者が,まじめに刑務所生活を送り,改悛の状があると評価され,2年を経過したところで,仮釈放の手続がとられることになった。
1 仮釈放は,検察官が許可した場合に許される。
2 仮釈放は,地方更生保護委員会の決定があれば許される。
3 仮釈放は,裁判員の合意があれば許される。
4 仮釈放は,裁判所の判断があれば許される。
5 仮釈放は,矯正施設の長が認めれば許される。
事例を確認すると,3年の懲役刑のうち,2年を経過していて,改悛の状があるとのことなので,仮釈放の対象となります。
1年を経過したときでも仮釈放の可能性があったものの,その時点ではまだ改悛の状が認められなかったということなのでしょう。
正解は,選択肢2です。
2 仮釈放は,地方更生保護委員会の決定があれば許される。
<今日の一言>
改悛の状とは
言葉の通り,悔い改めていることです。
仮釈放が国家試験に出題されたのは,今日の問題のたった1回のみです。
今後,どのように出題されるようになるのかは推測することができませんが,今日紹介したものくらいは覚えておきたいです。