保護観察は,指導監督と補導援護によって実施されます。
おさらいです。
指導監督の方法
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・面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち,その行状を把握すること。
・保護観察対象者が一般遵守事項及び特別遵守事項を遵守し,並びに生活行動指針に即して生活し,及び行動するよう,必要な指示その他の措置をとること。
・特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。
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補導援護の方法
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・適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。
・医療及び療養を受けることを助けること。
・職業を補導し,及び就職を助けること。
・教養訓練の手段を得ることを助けること。
・生活環境を改善し,及び調整すること。
・社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。
・前各号に掲げるもののほか,保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言その他の措置をとること。
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それでは,今日の問題です。
第25回・問題147 保護観察の実施方法である指導監督と補導援護のうち,指導監督の記述として正しいものを1つ選びなさい。
1 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。
2 就業中に事故に遭遇し傷害を負った者が医療及び療養を受けることを助けること。
3 家族との争いの絶えない保護観察対象者の生活環境を改善し,及び調整すること。
4 社会から逃避しがちな対象者を社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。
5 保護観察対象者が適切な宿泊場所を得ること,及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。
指導監督は,権力的性格をもつものです。
正解は,選択肢1です。
1 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。
これ以外は,すべて「補導援護」です。
専門的処遇である「専門的処遇プログラム」は,認知行動療法に基づいて体系化されています。
現在は,以下の4つのプログラムが実施されています。
専門的処遇プログラム
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・性犯罪者処遇プログラム
・薬物再乱用防止プログラム
・暴力防止プログラム
・飲酒運転防止プログラム
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このうちの薬物再乱用防止プログラムは,刑の一部の執行猶予制度では,薬物犯罪者に対して保護観察中の特別遵守事項として定められます。
「簡易薬物検出検査」を用いながら実施されます。
<今日の一言>
保護観察官と保護司の役割分担はない!
国試では,保護観察官と保護司の役割分担について,何度も出題されています。
しかし,役割分担については,法には定められていないことをしっかり覚えておきたいです。