今回も更生保護制度の目的を続けていきます。
更生保護制度の目的は,「社会内処遇」です。
何度も何度も繰り返し出題されていますので,確実に覚えましょう。
さて,更生保護制度の中心は,保護観察です。
保護観察は,保護観察所が実施しています。
それでは今日の問題です。
第30回・問題147 更生保護制度に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 更生保護制度を基礎づけている法律は,更生保護法である。
2 更生保護制度は,刑事政策における施設内処遇を担っている。
3 更生保護の対象者は,保護観察に付されている者に限る。
4 更生保護に関する事務は,家庭裁判所が所掌している。
5 保護観察所は,更生保護を実施するための第一線の機関である。
気をつけなければならないのは,答えを2つ選ぶ問題であることです。
国試の最後に近いところの問題なので,うっかりすると気が緩みそうです。
正解は,選択肢1と5です。
1 更生保護制度を基礎づけている法律は,更生保護法である。
5 保護観察所は,更生保護を実施するための第一線の機関である。
これらを正解には選びにくいですが,ほかの選択肢は消去できるので,この2つが残ります。
2 更生保護制度は,刑事政策における施設内処遇を担っている。
更生保護制度は,社会内処遇です。
3 更生保護の対象者は,保護観察に付されている者に限る。
更生保護の対象者は,恩赦や犯罪予防など多岐にわたります。さらには刑事施設からの出所する前の人も対象になります。さらには,出所した人であっても,保護観察に付されない者は,更生緊急保護の対象になります。
4 更生保護に関する事務は,家庭裁判所が所掌している。
更生保護に関する事務は,中央更生保護審査会,地方更生保護委員会,保護観察所が所掌しています。
<今日の一言>
保護観察所は,以下の事務を行っています。
保護観察所
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第二十九条 保護観察所は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 この法律及び売春防止法の定めるところにより、保護観察を実施すること。
二 犯罪の予防を図るため、世論を啓発し、社会環境の改善に努め、及び地域住民の活動を促進すること。
三 前二号に掲げるもののほか、この法律その他の法令によりその権限に属させられた事項を処理すること。
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三については,医療観察法に規定されている「精神保健観察」を行います。
精神保健観察を行うために,保護観察所には,社会復帰調整官が配置されています。