保護観察は,保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として,「指導監督」と「補導援護」を行うことで実施されます。
指導監督の方法
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・面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち,その行状を把握すること。
・保護観察対象者が一般遵守事項及び特別遵守事項を遵守し,並びに生活行動指針に即して生活し,及び行動するよう,必要な指示その他の措置をとること。
・特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。
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補導援護の方法
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・適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。
・医療及び療養を受けることを助けること。
・職業を補導し,及び就職を助けること。
・教養訓練の手段を得ることを助けること。
・生活環境を改善し,及び調整すること。
・社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。
・前各号に掲げるもののほか,保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言その他の措置をとること。
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これらを実施するのは,保護観察官と保護司です。
保護観察官
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保護観察、調査、生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する。
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保護司
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保護観察官で十分でないところを補う。
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このように,保護観察官と保護司の役割分担はありません。
これでは今日の問題です。
第26回・問題147 更生保護法における保護観察に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察の目的は,犯罪をした者及び非行のある少年に対する適切な社会内処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,非行をなくすことである。
2 保護観察を実施する機関は,仮釈放については裁判所,保護処分については地方更生保護委員会である。
3 権力的性格を有する指導監督と福祉的な性格を有する補導援護の内容は,更生保護法において,保護観察の種類に応じて具体的に定められている。
4 保護観察官は指導監督を行い,保護司は補導援護を行うといった役割分担が更生保護法に明記されている。
5 更生保護法には保護者に対する措置が規定されており,保護観察官は必要があれば親に対しても指導を受けるよう命じることができる。
更生保護制度の中心は,保護観察です。
保護観察の内容は,しっかり覚えていきたいです。
正解は,選択肢1です。
1 保護観察の目的は,犯罪をした者及び非行のある少年に対する適切な社会内処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,非行をなくすことである。
保護観察は,社会内処遇で実施されます。
保護観察の具体的な方法は,指導援護と補導援護によって実施されます。
それでは,ほかの選択肢も確認していきます。
2 保護観察を実施する機関は,仮釈放については裁判所,保護処分については地方更生保護委員会である。
保護観察を実施する機関は,保護観察所です。
3 権力的性格を有する指導監督と福祉的な性格を有する補導援護の内容は,更生保護法において,保護観察の種類に応じて具体的に定められている。
指導監督と補導援護の内容は,種類に応じては定められていません。
4 保護観察官は指導監督を行い,保護司は補導援護を行うといった役割分担が更生保護法に明記されている。
保護観察官と保護司の役割分担は,法には明記されていません。
5 更生保護法には保護者に対する措置が規定されており,保護観察官は必要があれば親に対しても指導を受けるよう命じることができる。
(保護者に対する措置)
保護観察所の長は、必要があると認めるときは、保護観察に付されている少年の保護者に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その改善更生に資するため、指導、助言その他の適当な措置をとることができる。
このように規定されています。
指導を受けるよう命ずることはできません。
<今日の一言>
地方更生保護委員会の所掌事務について
仮釈放,仮出場,仮退院などの決定及び取消しなどを行うのが,地方更生保護委員会です。
この機会に覚えておきましょう。