今回は,児童扶養手当を取り上げます。
ひとり親で児童を扶養している親などに給付されるものです。
児童扶養手当法では,児童を以下のように定義しています。
十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者又は二十歳未満で政令で定める程度の障害の状態にある者をいう。 |
児童扶養手当が給付されるのは,児童がこの年齢だということになります。
児童手当法は,児童を「十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者」と規定されているのに,給付は,「15歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者」に対して行われます。
児童扶養手当は,定義のとおりに給付されます。
それでは,今日の問題です。
問題29・選択肢141 事例を読んで,児童扶養手当に関する担当者の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
T市に居住するBさんは,障害基礎年金を受給している。最近,夫と離婚して小学生(11歳)の子どもを引き取った。今後の生活のため,手当のことについて市役所の担当部署に相談に行った。
1 児童扶養手当の支給によって子どもに対する父親の扶養義務はなくなる。
2 障害基礎年金と児童扶養手当は併給できないため,Bさんはどちらかを選択する必要がある。
3 Bさんに障害があるため,児童扶養手当は子どもが20歳になるまで支給される。
4 母子生活支援施設に入所する場合であっても,支給要件を満たす限り,児童扶養手当は支給される。
5 児童扶養手当の支給は,子どもが13歳に達した日の翌月から減額される。
法制度系の科目の事例問題は,法制度について問われます。決して簡単ではありません。
さて,この問題の正解は,選択肢4です。
児童扶養手当は,児童が施設入所する場合には給付されません。
しかし,この選択肢のように,母子生活支援施設は,母子で入所する施設であることから,児童を扶養する者とみなされて給付されます。
それではほかの選択肢を解説します。
1 児童扶養手当の支給によって子どもに対する父親の扶養義務はなくなる。
法では,以下のように規定されています。
児童扶養手当の支給は、婚姻を解消した父母等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度又は内容を変更するものではない。
当然扶養義務がなくなるわけではありません。
2 障害基礎年金と児童扶養手当は併給できないため,Bさんはどちらかを選択する必要がある。
障害基礎年金と児童扶養手当は併給できません。
しかし,年金額が児童扶養手当よりも低い場合は,その差額が給付されます。
3 Bさんに障害があるため,児童扶養手当は子どもが20歳になるまで支給される。
児童扶養手当が20歳まで給付されるのは,児童に障害がある場合です。
5 児童扶養手当の支給は,子どもが13歳に達した日の翌月から減額される。
児童扶養手当は,児童の年齢によって給付額は変わりません。