社会福祉士の国家試験で出題される財務諸表は
貸借対照表
事業収支計算書
資金収支計算書
の3種類です。
貸借対照表
会計年度の期末の資産,負債,純資産を表わします。
貸借対照表の左側は借方と呼び,資産が示されます。
右側は貸方と呼び,負債と純資産が示されます。
借方の合計と貸方の合計は,一致します。
一致しないとすればどこかの計算が間違っています。
事業収支計算書
会計年度中の純資産の増減を表わします。
資金収支計算書
会計年度中の資金の増減を表わします。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題124 社会福祉法人の経営・会計に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 法人全体の財務諸表を作成しなければならない。
2 貸借対照表の貸方(右側)には,固定資産が計上される。
3 減価償却費はコストであるため,法人外部に資金流出する。
4 アカウンタビリティとは,間接金融を指す。
5 借入金返済の財源として,外部寄附者による寄附金を用いてはならない。
この問題は,考え込むと深みに入り込んでしまうものです。
というのは,正解は,選択肢1
1 法人全体の財務諸表を作成しなければならない。
どんな財務諸表を作成しなければならないのか,という問題ではなく,財務諸表を作成しなければならない,という内容です。
深く掘り下げれば,いくらでも掘り下げることができますが,そうすると正解できる人がいなくなってしまうので,絶対に掘り下げて出題することはないでしょう。
一応,ほんの選択肢も確認してみます。
2 貸借対照表の貸方(右側)には,固定資産が計上される。
貸方に計上されるのは,負債と純資産です。
借方に計上されるのは,固定資産と流動資産を合わせた資産が計上されます。
3 減価償却費はコストであるため,法人外部に資金流出する。
減価償却は,何度も繰り返して出題されていますが,固定資産を取得した経費を使用年によって,計上するものです。
外部に資金が流出するのは,取得した時です。減価償却は,会計処理上の問題なので,実際には外部に流出しません。
土地も固定資産ですが,使用によって価値は下がらないので,減価償却の対象外です。
4 アカウンタビリティとは,間接金融を指す。
アカウンタビリティは,説明責任のことです。
間接金融は,金融機関から資金を調達することです。
直接金融という用語もあり,金融機関を通さず,資金を調達することをいいます。
5 借入金返済の財源として,外部寄附者による寄附金を用いてはならない。
このような制約はありません。