2020年9月30日水曜日

リーダーシップのコンティンジェンシー理論

今回は,リーダーシップ理論を取り上げます。


現代のリーダーシップ理論は,特性論を経て行動理論が主流です。


特性論は,優れたリーダーシップを発揮できるのは,優れた素養を生まれ持ったリーダーである,という考え方です。


ところが,研究を進めても,優れた素養について,共通するものを見出すことができず,衰退します。


現代は,優れたリーダーシップは,行動によって決まるとされる行動理論に移ってきています。


行動理論には2種類あります。


一つは,優れたリーダーシップ行動はこういったタイプであると示すものです。

PM理論がこのタイプです。


もう一つは,優れたリーダーシップ行動は,状況によって変わるとする「コンティンジェンシー理論」です。


当然ながら,コンティンジェンシー理論は,「最も優れたリーダーシップ行動は〇〇である」といったことは言いません。


それでは,今日の問題です。


第29回・問題123 リーダーシップに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 コンティンジェンシー理論では,特定のリーダーシップ行動の普遍的有効性を重視する。

2 行動アプローチでは,リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。

3 変革型リーダーシップ論では,メンバー個々の動機づけや知的刺激を排除するリーダーの行動を重視する。

4 リーダーシップの特性論では,課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。

5 フォロワーシップ理論では,フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する。


リーダーシップ理論の知識がないと,いやになってしまうような問題かもしれません。


正解は,

5 フォロワーシップ理論では,フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する。


改めて読むと「なるほど」と思うかもしれませんが,これわ正解だと思うのはなかなか難しい問題です。


その理由は,

4 リーダーシップの特性論では,課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。


特性論は,リーダーシップ行動を重視するものではなく,優れたリーダーは優れた素養を生まれ持っていると考えるものです。


つまり,リーダーシップは学ぶものではなく,リーダーになるべき人がリーダーになると考えて良いでしょう。特性論は,あまりに前時代的だと思いませんか。


特性論を述べたものは,


リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。


よほどひねくれた試験委員でない限り,特性論を正解にする問題はないように思います。

特性論では,リーダーシップは学ぶことができないと考えます。


それよりは,コンティンジェンシー理論を学んでもらった方が良いです。


コンティンジェンシー理論には,

フィードラー理論

SL理論

パス・ゴール理論

などがあります。


コンティンジェンシー理論を押さえるポイントは,適切なリーダーシップは,状況によって変わるものであるというところです。


コンティンジェンシー理論にもかかわらず,唯一の方法がある,といったものは,すべて間違いとなります。


最低でもこれだけは押さえておきたいです。

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