今回は,リーダーシップ理論を取り上げます。
現代のリーダーシップ理論は,特性論を経て行動理論が主流です。
特性論は,優れたリーダーシップを発揮できるのは,優れた素養を生まれ持ったリーダーである,という考え方です。
ところが,研究を進めても,優れた素養について,共通するものを見出すことができず,衰退します。
現代は,優れたリーダーシップは,行動によって決まるとされる行動理論に移ってきています。
行動理論には2種類あります。
一つは,優れたリーダーシップ行動はこういったタイプであると示すものです。
PM理論がこのタイプです。
もう一つは,優れたリーダーシップ行動は,状況によって変わるとする「コンティンジェンシー理論」です。
当然ながら,コンティンジェンシー理論は,「最も優れたリーダーシップ行動は〇〇である」といったことは言いません。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題123 リーダーシップに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 コンティンジェンシー理論では,特定のリーダーシップ行動の普遍的有効性を重視する。
2 行動アプローチでは,リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。
3 変革型リーダーシップ論では,メンバー個々の動機づけや知的刺激を排除するリーダーの行動を重視する。
4 リーダーシップの特性論では,課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。
5 フォロワーシップ理論では,フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する。
リーダーシップ理論の知識がないと,いやになってしまうような問題かもしれません。
正解は,
5 フォロワーシップ理論では,フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する。
改めて読むと「なるほど」と思うかもしれませんが,これわ正解だと思うのはなかなか難しい問題です。
その理由は,
4 リーダーシップの特性論では,課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。
特性論は,リーダーシップ行動を重視するものではなく,優れたリーダーは優れた素養を生まれ持っていると考えるものです。
つまり,リーダーシップは学ぶものではなく,リーダーになるべき人がリーダーになると考えて良いでしょう。特性論は,あまりに前時代的だと思いませんか。
特性論を述べたものは,
リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。
よほどひねくれた試験委員でない限り,特性論を正解にする問題はないように思います。
特性論では,リーダーシップは学ぶことができないと考えます。
それよりは,コンティンジェンシー理論を学んでもらった方が良いです。
コンティンジェンシー理論には,
フィードラー理論
SL理論
パス・ゴール理論
などがあります。
コンティンジェンシー理論を押さえるポイントは,適切なリーダーシップは,状況によって変わるものであるというところです。
コンティンジェンシー理論にもかかわらず,唯一の方法がある,といったものは,すべて間違いとなります。
最低でもこれだけは押さえておきたいです。