スクールソーシャルワーカーは,文部科学省の「スクールソーシャルワーカー活用事業」で配置されています。
任用資格は,社会福祉士・精神保健福祉士等とされています。
スクールソーシャルワーカー活用事業の趣旨
いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待など生徒指導上の課題に対応するため、社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて、児童生徒の置かれた様々な環境に働き掛けて支援を行う、スクールソーシャルワーカーを教育委員会・学校等に配置し、教育相談体制を整備する。 |
スクールソーシャルワーカーの役割
・関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整 ・学校内におけるチーム体制の構築、支援 ・保護者・教職員等に対する支援・相談・情報提供 ・教職員等への研修活動 |
それに対して,スクールカウンセラーの役割は,以下のとおりです。
・児童生徒に対する相談・助言 ・保護者や教職員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション) ・教職員や児童生徒への研修や講話 ・相談者への心理的な見立てや対応 ・ストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応 ・事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケア |
この2つの職種を簡単に言えば,
スクールソーシャルワーカーは,関係機関との連携・調整
スクールカウンセラーは,心理的支援
だと言えるでしょう。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題96 事例を読んで,Dスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)による助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
小学校2年生のE君(7歳)は,授業中に教室内を歩き回ることが頻繁にある。担任がE君の離席を注意すると,E君はパニックを起こし,泣き叫びながら教室の外に飛び出してしまう。授業の進度も大幅に遅れていることから,複数の保護者から担任の交代を求めるクレームが校長に寄せられている。校長は,教育委員会にスクールソーシャルワーカーの派遺を要請し,助言を求めることとした。Dスクールソーシャルワーカーは学校を訪問し,授業観察を行った。
1 校長に対して,E君を転校させる必要性があると助言する。
2 校長に対して,保護者からのクレームは気にする必要がないと助言する。
3 校長に対して,個別的な対応をするため,特別支援教育支援員配置の必要性があると助言する。
4 E君の担任に対して,E君の指導を厳格にするよう助言する。
5 E君の保護者に対して,家庭でのしつけを徹底するように助言する。
前回の問題と同じように,絶対に間違ってはいけない問題です。
正解は,
3 校長に対して,個別的な対応をするため,特別支援教育支援員配置の必要性があると助言する。
これ以外の選択肢は,その助言に根拠があるとすれば,スクールカウンセラーの役割に属するものです。
スクールカウンセラーは,心理アセスセメントができる心理の専門職です。
心理的問題があった場合は,スクールカウンセラーにつなげることが必要です。
<今日の一言>
今日の問題は,答えが明確なので,よほどのことがない限り間違うことはないでしょう。
もし,設問が「スクールソーシャルワーカーの役割として,適切なものを選びなさい」という問題で,選択肢がスクールカウンセラーと混同させるような問題だったとしたら,難易度が上がります。
スクールソーシャルワーカーは福祉の専門職,スクールカウンセラーは心理の専門職であるという基本は理解しておかなければなりません。