2020年9月23日水曜日

グループワークのポイント

 今回は,グループワークを取り上げます。

 グループワークは,集団力学を活用した集団援助技術です。

 グループワークのプロセスは,以下の通りです。

 

プロセス

段階

注意点

準備期

ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階

この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。

波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。

開始期

メンバーが集まって,グループワークを始める前までの段階

この段階には「契約」と呼ばれるワーカーの役割などをメンバーに説明する段階が含まれます。

グループワークでの約束事などを確認し,援助関係をつくります。

作業期

ワーカーとメンバーが課題解決に向けて,活動を行う段階

この段階では,グルーブの仲間意識が生じたり,対立したりすることもあります。

しかし,これらはグルーブダイナミクス(集団力学)を活用したグループワークでは重要な意味を持ちます。

終結期

グループワークを終える段階

振り返りや反省などを行い,次の段階へつなげます。そのため,移行期とも言われます。

 

それでは,今日の問題です。

 

 

29回・問題115 グループワークに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 波長合わせとは,メンバー間の親しい対面や接触を通して,お互いに刺激し,影響し合うことである。

2 グループの発達過程とは,グループの誕生から終結に至る,力動的関係の過程を示すものである。

3 グループの凝集性とは,メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことである。

4 メンバー間の相互作用とは,メンバーがグループの構成員として認められるため,グループが持つルールのことである。

5 プログラム活動とは,メンバーと機関・施設側との間で目標達成に向けての取組について合意を形成し,双方の責任を明確にすることである。

 

知識なしでは,期待値である5分の1の確率でしかおそらく正解できない問題でしょう。

 

この問題は,消去法で答えが残るタイプの問題です。

そのため,知識不足のために消去できない選択肢が一つでもあると正解できないのです。

 

こういったタイプの問題は毎年かなり出題されます。

 

さて,この問題の正解は,選択肢2です。

 

2 グループの発達過程とは,グループの誕生から終結に至る,力動的関係の過程を示すものである。

 

これはとても難しいです。

後出しじゃんけん的に解説すると,発達過程はグループであっても人と同じように誕生から消滅するまでの過程であり,集団力学を活用して変化していくものである,と考えることができるでしょう。

 

しかし,これは今だから言えることです。

消去法を使わず,この選択肢を正解だと認識するのはかなり難しいものです。

 

ということで,ほかの選択肢の消去ポイントを紹介します。

 

 

1 波長合わせとは,メンバー間の親しい対面や接触を通して,お互いに刺激し,影響し合うことである。

 

波長合わせは,準備期にワーカーが行うものです。

この段階ではまだメンバー同士は対面していません。

 

 

3 グループの凝集性とは,メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことである。

 

グループの凝集性は,作業期に成立するもので,仲間意識を指します。

 

メンバーがどのような思いや感情を持ってグループの場面にやってくるのかを,援助者があらかじめ理解しておくことは,波長合わせです。

 

 

4 メンバー間の相互作用とは,メンバーがグループの構成員として認められるため,グループが持つルールのことである。

 

メンバー間の相互作用とは,集団力学で変化していくものです。

 

メンバーがグループの構成員として認められるため,グループが持つルールのことは,グループの凝集性です。

 

5 プログラム活動とは,メンバーと機関・施設側との間で目標達成に向けての取組について合意を形成し,双方の責任を明確にすることである。

 

プログラム活動は,グループワークの目的を達するために用いられる実際の活動です。

 

メンバーと機関・施設側との間で目標達成に向けての取組について合意を形成し,双方の責任を明確にするのは,開始期に行われます。


 

<今日の一言>

 

一つひとつを確実に消去することで正解できる問題は,勉強不足の人にとっては,とても難しい問題となります。

それでも5分の1の確率では正解することはできますが,合格基準である6割ラインを超えるためには,このような不安定な実力ではちょっと難しいと言えます。

国試で不合格になると知識不足を実感しますが,国試合格に必要な知識は,広い知識よりもこのような問題を確実に正解することができる知識です。

日々の勉強は単調で無味乾燥に感じると思いますが,それでも勉強をやり続けた人が国試合格をつかむことができることでしょう。

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