今回は,集団について学んでいきたいと思います。
集団については,「社会理論と社会システム」でも出題されますが,「福祉サービスの組織と経営」っぽいものとして,「集団思考」があります。
みんなで考えて導き出したことは,適切になりそうですが,実はそうでもないことを覚えておきたいです。
一人で意思決定するよりも危険な結論を導きだすことは,リスキーシフトといいます。
一人で意思決定するよりも無難な結論を導きだすことは,コーシャスシフトといいます。
なお,集団思考は,集団浅慮ともいいます。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題122 集団のパフォーマンスに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 リーダーを中心にまとまりの良い集団では,集団浅慮は起きない。
2 社会的手抜きは,集団の作業では発生しない。
3 社会的促進は,複雑で不慣れな課題遂行時に起きる。
4 グループ間のコンフリクトは,あるグループが他のグループに対して優位に立とうとするときに生じる。
5 チームでメンタルモデルが共有されていると,チームのパフォーマンスが減退する。
正解は,選択肢4です。
4 グループ間のコンフリクトは,あるグループが他のグループに対して優位に立とうとするときに生じる。
改めて読んでみると,そうだな,と思えるでしょう。
しかし,そんなに簡単に正解できないのが国試の怖いところです。
この中で,知識不足の人が間違いそうなのは,
3 社会的促進は,複雑で不慣れな課題遂行時に起きる。
社会的促進は,国試で何度も出題されてきたものです。
周りの人に影響されて,作業が促進することが社会的促進です。
単純で慣れた作業の方がより促進するとされています。
徒競走で,速いグループに入るとタイムが上がるのは,社会的促進で説明することができます。
<今日の一言>
対義語のあるものに注意!
今日の問題では
複雑 ⇔ 単純
不慣れ ⇔ 慣れ
減退 ⇔ 増進
です。
国家試験ではこれらを入れ替えて出題すれば,それっぽい間違い選択肢をつくることができます。
内容によほど自信がないかぎり,慎重に選ぶのが適切でしょう。
右と左,上と下なども同様です。
そのほかに注意したいのは,具体的な数値が出題されている選択肢です。
社会保障給付費や国民医療費のように,何度も出題されているものは,具体的な数値を入れて出題しますが,初めて出題されたようなもので,具体的な数値が入っているものが正解になることは少ない,ということも覚えておきたいです。