自助グループ(セルフヘルプグループ)は,当事者のグループです。
専門職が主導的にかかわるグループワークと異なり,当事者が主体的に参加して活動しているところに特徴があります。
自助グループには,「ヘルパーセラピー原則」という効果があります。
人を援助することで,自分も援助されるという原則です。
認知症の人の家族の会といった当事者の家族や周りの人が参加している会もありますが,これも自助グループです。
それでは今日の問題です。
第29回・問題116 自助グループの特性に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 専門職がリーダーとして問題や課題を専有している。
2 メンバーが受動的である。
3 メンバー間に明確な上下関係がある。
4 異なる悩みや問題,課題を持つ者の集まりである。
5 本人や家族が参加している。
シンプルな言い回しの選択肢で構成されている問題ですが,正解するのはそんなに簡単ではありません。
おそらく自助グループのことを知らない人は,引っ掛けられるからです。
引っ掛けポイントは
4 異なる悩みや問題,課題を持つ者の集まりである。
よくよく考えると異なる課題などを持つ者の集まりではなく,同じ課題などを持つ者の集まりなのですが,自助グループのことをよく知らないとこれも正解に思えてしまうのです。
正解は,
5 本人や家族が参加している。
何のひねりもないシンプルな文章ですが,自助グループを当事者の集まりだ,という単純な理解だと「家族は含まないのでは?」と思ってしまい,正解にすることができないのです。
国試は,それほど難しいものではありませんが,国試の怖さを教えてくれる問題です。
<今日の一言>
自助グループの詳細は,社会福祉士の国試には出題されませんが,精神保健福祉士では多くの種類が出題されています。
例えば
アラノン アルコール依存症者の家族などの自助グループ
ナラノン 薬物依存症者の家族などの自助グループ
これらは,家族が参加するものですが,もちろん自助グループです。
なお,アルコールに関する自助グループには,断酒会とAAがあります。
AAの2つめのAは,アニノマス(匿名の)という意味です。
つまり,AAは名前を名乗らず匿名で参加するところに特徴があります。
断酒会はAAを参考にして日本で開発されたもので。匿名性という特徴は持っていません。いかにも日本的だと思いませんか?