緊張感のある国家試験会場では,普段はしないミスが起きます。
どれだけ慎重に問題を読んでも必ずと言ってもよいほど起きます。
このミスが少ない人は合格し,ミスが多い人は合格できません。
今日の問題も何の変哲も引っ掛けもない問題ですが,頭が固いとミスします。
第30回・問題106 ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 個人情報の保護よりも閲覧のしやすさを優先して保管する。
2 文章で表現し,記号や図は使用しない。
3 クライエントやその家族からの情報は,正式な記録とはならない。
4 サービス利用者本人には非開示としなければならない。
5 適正に援助業務を遂行したことを説明するための証拠となる。
うっかりするとミスしそうなのは,選択肢2です。
2 文章で表現し,記号や図は使用しない。
ジェノグラムやエコマップなどのマッピング技法も記録です。
アセスメントに用いられます。
このように書くと「なるほど」と思うかもしれませんが,冷静に判断ができないのが国試の怖さです。
「こんな問題で間違うことはない」と思う人は,要注意です。先に書いたように,ミスは必ず起きます。
国試会場は,自分の頭で考えなければならない問題もあります。
それまでに勉強してきた知識では答えられないような問題です。
正解は,選択肢5です。
5 適正に援助業務を遂行したことを説明するための証拠となる。
記録の種類などを中心に勉強してきた人は肩透かしを食うような問題でしょう。
しかし,これが国試の現実です。
<今日の一言>
国試は,さまざまな知識を用いて答えるように作った問題も出題されます。
なぜなら,知識があっても実践力のない社会福祉士は現場では必要としていないからです。
知識があるのは,必要条件ですが,十分条件ではありません。
国試に落ち着いて臨むというのは,かなり難しいことかもしれません。
しかし,少しでも気持ちに余裕をもつことができたら,ミスは減らせます。
そのために必要なことは「自分は精いっぱい勉強してきた」と思えることだと思っています。
今の勉強は大変なことだと思いますが,その努力は自己肯定感を高めるといった意味で重要です。
落ち着いて問題を読めば解けるというタイプの問題をどれだけミスしないかが重要なのです。