モニタリングとは,支援(インターベンション)の実施中に行われるもので,支援が計画通りに進んでいるかなどを確認します。そのうえで必要な場合は,再アセスメントなどを検討するものです。
ほかのプロセスに比べていつどのように実施されるのかがわかりにくいので,本当に要注意です。
テレビ業界では,モニターで映像を確認することをモニタリングというみたいですが,それとは若干異なります。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題109 ケアマネジメントの方法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スクリーニングの結果,ケースの終結が判断される。
2 アセスメントでは,精神面・身体面の把握のみならず,住環境,家族関係,経済状況,援助の状況など幅広い生活障害全般の把握を行う。
3 ケアプランの作成は,過去の類似事例と同様の内容で作成する。
4 ニーズと資源の接合(リンケージ)は専門職主導で行い,决定後にクライエントに内容の説明をする。
5 モニタリングには,支援が必要と判断された人を支援提供機関などに連絡し,紹介することが含まれる。
こんな問題で間違う人がいるのか,と思う人もいるかもしれません。
しかし,こんな問題でも間違うのが国試です。国試では読み間違い,勘違いなど,普段はしないようなミスを犯すものです。
正解は,選択肢2です。
2 アセスメントでは,精神面・身体面の把握のみならず,住環境,家族関係,経済状況,援助の状況など幅広い生活障害全般の把握を行う。
アセスメントそのものでしょう。
それでは解説です。
1 スクリーニングの結果,ケースの終結が判断される。
スクリーニングは,支援の初期段階で,相談者が支援の対象となるかを判断するものです。
3 ケアプランの作成は,過去の類似事例と同様の内容で作成する。
ケアマネジメントは,ソーシャルワークの一技法です。
過去の類似事例と同様の内容で作成するのだったら,ケースワークの原則(バイステックの七原則)の「個別化」の原則に反します。
4 ニーズと資源の接合(リンケージ)は専門職主導で行い,决定後にクライエントに内容の説明をする。
ソーシャルワークでは,この選択肢のように「専門職主導」といったタイプの表現が含まれるものは,正解にはなり得ません。
なぜなら「自己決定の原則」に反するからです。
5 モニタリングには,支援が必要と判断された人を支援提供機関などに連絡し,紹介することが含まれる。
この問題で間違う可能性を高めているのはこの選択肢です。
しっかり勉強していないと,モニタリングはわかりにくいものだからです。
再度,確認します。
モニタリング
支援(インターベンション)の実施中に行われるもので,支援が計画通りに進んでいるかなどを確認します。そのうえで必要な場合は,再アセスメントなどを検討します。
日本語では,経過観察と訳されていますね。
支援が必要と判断された人を支援提供機関などに連絡し,紹介することは,リファーラルといいます。
リファーラルという用語が国試に登場したのは,第24回,第26回,第33回の3回しかありません。
それにリファーラルの意味として出題されたのが,今日の問題である第30回です。
モニタリングとともに,スクリーニング,リファーラルなどソーシャルワークにはカタカナ用語が多いのですが,意味をしっかり覚えておかないと,その言葉から意味を推測することができないので,受験者に差がつきやすくなります。
カタカナ語は苦手,などとのんきなことを言っていられません。こういったものを確実におさえていくことが合格への第一歩です。
知識不足の人が解答テクニックで合格できるような試験では決してありませんから,甘く見ないことが必要です。