2021年7月8日木曜日

事例問題の目のつけどころ

ソーシャルワーク系の事例問題は,それほど難しくありませんが,うっかりするとミスすることもあります。


みんなが解けない問題で正解できなくても大丈夫ですが,多くの人が正解する問題をミスすることは,不合格になる原因となります。


それでは,まずは事例だけを見てみましょう。


第30回・問題97 事例を読んで,母子生活支援施設の母子支援員(社会福祉士)の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Aさん(31歳,女性)とBちゃん(7歳,女児)は,市の福祉事務所を通じて,母子生活支援施設に入所している。Aさんは,夫の暴力に耐え切れず,仕事を辞め,Bちゃんを連れて逃げてきた。AさんとBちゃんの母子関係は良いが,Bちゃんには精神的に不安定な面がある。このため,Bちゃんは学校を休みがちである。Aさんは夫と離婚し,新たな仕事を見つけ,Bちゃんとの安定した生活を得たいという。


この問題の難易度が低いのは,Aさんの希望が明確に書かれているからです。


つまりこの事例の目のつけどころは,


Aさんは夫と離婚し,新たな仕事を見つけ,Bちゃんとの安定した生活を得たいという。


という一文です。


それでは,選択肢をみましょう。


1 Bちゃんへの個別対応は,Bちゃんが通う学校の学級担任に一任する。

2 Bちゃんの治療のため,児童相談所に児童自立支援施設への入所を依頼する。

3 Aさんの就業に当たって,最寄りの母子家庭等就業・自立支援センターに関する情報を提供し,その利用の可能性についてAさんと検討する。

4 Aさんの退職の理由を詳細に聞くため,元の仕事先を訪問する。

5 夫が勤務する会社に連絡し,配偶者暴力の背景となる要因がないか確認する。


この問題をつくった人は,問題づくりが下手だと思います。


正解の文章は,ほかよりも長くなりがちだからです。


ということで,Aさんの希望を含んだ内容である


3 Aさんの就業に当たって,最寄りの母子家庭等就業・自立支援センターに関する情報を提供し,その利用の可能性についてAさんと検討する。


が正解です。


<今日の一言>


今日の問題は簡単ですが,事例問題の中には難しいものもあります。


具体的には,対応としてはすべて適切であっても,設問で規定される要件と異なるもので構成された問題です。


うっかりすると間違えるので注意が必要です。

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