2024年7月2日火曜日

知らないのは勉強不足ではない!

 国試問題を見たとき,「こんな制度・政策は知らない」と思うことがあります。

特に「義務規定」,つまり「~~しなければならない」というもので,知らないものがあれば,多くの場合は,嘘です。


嘘なので知らないのは当然です。


それでは,今日の問題です。


第25回・問題69

ホームレスの自立支援制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「ホームレス自立支援法」は,就労の自立の促進を目的としたホームレス自立支援施設(自立支援センター)の設置を義務づけている。

2 「ホームレス自立支援法」は,就労支援等の職業斡旋を国及び地方公共団体が行い,特定非営利活動法人などの民間団体は宿泊所や食事の提供を行うと規定している。

3 「ホームレス自立支援法」は,都市公園などの公共施設の管理者がホームレスが起居の場所とすることができるように適切な措置をとるよう規定している。

4 「ホームレス自立支援法」は,自立支援の施策や実施を進めていくために,地方自治体の協力を得て全国的な実態調査を行わなければならないと規定している。

5 「ホームレス自立支援基本方針」では,支援のためのプロセスとして,自立支援施設への入所後,生活が安定した段階で生活保護の適用を行うとされている。

(注)1 「ホームレス自立支援法」とは,「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」のことである。

2 「ホームレス自立支援基本方針」とは,「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」のことである。


ホームレス自立支援法は,25年の時限立法です。


それを知らずとも今日の問題は正解できそうですが,時限立法であることを思い出せば,正解に大きく前進します。


さて,それでは詳しく見ていきましょう。


1「ホームレス自立支援法」は,就労の自立の促進を目的としたホームレス自立支援施設(自立支援センター)の設置を義務づけている。


ホームレス自立支援施設の設置義務は聞いたことがないと思います。もちろんこんなものはないからです。


よって×。


だいたいこの選択肢はとてもあやしいです。設置を義務づけている,という割に,「どこに」が抜けています。


25年で効力を失う時限立法では,このような規定はされません。


2「ホームレス自立支援法」は,就労支援等の職業斡旋を国及び地方公共団体が行い,特定非営利活動法人などの民間団体は宿泊所や食事の提供を行うと規定している。


大きなお世話ですね。もちろん規定されていません。

よって×。


3「ホームレス自立支援法」は,都市公園などの公共施設の管理者がホームレスが起居の場所とすることができるように適切な措置をとるよう規定している。


都市公園などの公共施設の管理者に規定しているのは,


当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは、ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ、法令の規定に基づき、当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとする。


全然違います。


4「ホームレス自立支援法」は,自立支援の施策や実施を進めていくために,地方自治体の協力を得て全国的な実態調査を行わなければならないと規定している。


これが正解です。調査結果は勉強しますね。


5「ホームレス自立支援基本方針」では,支援のためのプロセスとして,自立支援施設への入所後,生活が安定した段階で生活保護の適用を行うとされている。


生活保護は,ホームレスでも受給しようと思えばできます。

就労支援が正しいです。


〈今日の一言〉


試験会場で最も避けたいことは,心が弱くなることです。


自分は,精いっぱいやった。

知らないのは,そんなものは存在しない


と思えるくらいの開き直りが必要です。

国家試験当日には,このように思えるように勉強していきましょう。

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