変化の小さいときは,経験が大きな武器となります。
変化が大きい時は,逆に経験は邪魔になることがあります。
さて,今日のテーマは,
コンティンジェンシー理論は,激しい環境変化の時代だからこそ覚えておきたい!!
です。
コンティンジェンシーは,直訳すると「不測の事態」という意味です。
コンティンジェンシー理論とは,状況によって対応法が変わるという考え方です。
組織も環境も,最善の方法は唯一ではありません。
組織のリーダーシップであれば,組織を立ち上げる時,成長途中,安定期では変わるわけです。
組織の構造も,内部,外部の環境によって変わります。
ここをしっかり押さえておけば,コンティンジェンシー理論は怖くないです。
それでは今日の問題です。
第25回・問題120
組織構造や環境に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法が存在するという考え方を,コンティンジェンシーアプローチと呼ぶ。
2 外部環境が不確実であるほど,組織は多くの規則や手続きを備え,明白な階層構造を持ち,中央集権化された機械的な管理システムとなる傾向にある。
3 有機的な管理システムでは,仕事内容が専門分化され,垂直方向のコミュニケーションが多く見られる。
4 官僚制は,ルールや手続き,専門化と分業,権限の階層構造などの特徴を持ち,組織を有効に機能させる上で利点がある。
5 組織にとって,環境不確実性の低い状況とは,外部環境が複雑で不安定な場合をいう。
組織理論は難しいですが,社会福祉士が組織の調整機能を持つと考えると,とても重要です。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法が存在するという考え方を,コンティンジェンシーアプローチと呼ぶ。
あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法は存在せず,状況によって変わる,とするのがコンティンジェンシーアプローチです。
しっかり覚えていきましょう!!
もちろん誤りです。
2 外部環境が不確実であるほど,組織は多くの規則や手続きを備え,明白な階層構造を持ち,中央集権化された機械的な管理システムとなる傾向にある。
機械的な管理システムとなる傾向が強くなるのは,外部環境の変化が少ない時です。
よって×。
外部環境が不確実であるほど,変化に柔軟に対応できるシステムが求められます。
3 有機的な管理システムでは,仕事内容が専門分化され,垂直方向のコミュニケーションが多く見られる。
有機的,機械的という表現が,この試験ではよく使われます。
有機的とは,変化すること。
機械的とは,変化しないこと。
組織の形態には,トップダウン型のライン型組織があります。
ライン型組織は,各専門部門が独立して働いているので,水平方向のコミュニケーションはそれほど多くは行われません。
機械的な管理システムは,ライン型組織だと言えます。有機的ではありません。
よって×。
4 官僚制は,ルールや手続き,専門化と分業,権限の階層構造などの特徴を持ち,組織を有効に機能させる上で利点がある。
これが答えです。
官僚制は,組織を動かすための仕組みを言います。
難しめの問題ですが,結局答えは超頻出の官僚制でした。
国家試験はこんなものです。
5 組織にとって,環境不確実性の低い状況とは,外部環境が複雑で不安定な場合をいう。
言葉遊びのような問題になっています。
環境不確実性が高い ➡ 変化が大きいこと。
環境不確実性が低い ➡ 変化が小さいこと。
よって×。
この科目が苦手な人は多いかもしれません。
しかし,意外と押さえるべきポイントは少ないです。
しっかり押さえていけば,点数は取れます。