国家試験では,頻出の人物にもかかわらず,見たことのない文になっていることがあります。
「自分が勉強不足だったのか」と不安になる瞬間でしょう
しかし・・・
「この人はこんなことを言ったのかな」と思うものは,多くの場合は誤りです。
しっかり参考書を勉強してきた方はこの感覚を信じてください。
今の国家試験は,しっかり勉強した人は得点できるように問題が作成されています。
国家試験はいかにも難しそうに見えるように,予防線を張って作問しています。
それは誤りとなる選択肢を「いかに正しいように見せるか」にかかっています。
そのパターンは見えていますので,試験委員を逆手にとることはできそうです。
国家試験は,決して怖くはないです。
それでは,今日の問題です。
第26回・問題132
地域密着型サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。
2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。
3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。
4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。
5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。
地域密着型サービスは,2005年の法改正で創設されたものです。
その前からあった「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)は,地域密着型サービスとなりました。
地域密着型サービスは,従来型と違い小規模の事業所であり,指定は市町村が行います。
基本的には,その市町村の住民が対象となるものです。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。
先述のように地域密着型サービスはその市町村の住民を対象としています。そのため,住所地特例がありません。
しかし,完全に利用できないかというと,実はそうでもなく,市町村同士の同意があれば利用可能です。
よって×。
2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。
この問題はおそらく,市町村特別給付と混同させるための出題のように思います。
市町村特別給付には,第1号被保険者の保険料だけが使われます。
これは市町村が把握できるのは第1号被保険者の保険料のみであるという事情があります。
地域密着型サービスは,市町村が指定するサービスですが,市町村特別給付と違って,介護保険の基準内サービスです。
そのため。第2号被保険者の保険料も使われます。
よって×。
3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。
地域密着型サービスは,市町村が指定するので,ある程度の自由が認められています。
基準を超えてしまうと,上乗せサービスになり市町村特別給付の範ちゅうになってしまいますが,それを超えない範囲で定めることができるようになっています。
よって正解。
4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。
いくつも列記される選択肢は,その中に間違いを織り込むことができるので,誤りになりやすくなります。
この問題では・・・
通所介護
短期入所
訪問介護
訪問リハビリテーション
の4つがあります。
落ち着いて見てみる必要があります。
列記されたものの中で小規模多機能型居宅介護のサービスに含まれないのは訪問リハビリテーションです。
よって×。
5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は,夜間に限定されるものではありません。
夜間に巡回訪問するのは,夜間対応型訪問介護です。
よって×。
国家試験は,日本語
落ち着いて問題文を読めば,知識が足りなくても,分かるものもあります。
自分の努力を信じましょう。