2024年5月22日水曜日

何となく「変だな」と思えれば,答えは見つけられる!

勉強をしても覚えられない


覚えたつもりでもすぐ忘れる


いつの時代も受験生の悩みは一緒です。


特に,なじみのある制度は覚えやすいですが,なじみのない専門用語はなかなか簡単に覚えられるものではありません。



覚えられないので,勉強に行き詰っている



これもよく聞かれる言葉です。


しかし,地道な勉強は,国家試験では必ず底力となって現われます。


特に国家試験は,マークシート。


問題文の中には必ず答えはあり,覚えたものを直接的に想起できなくても「何か変だな?」と感じることができれば,国家試験では答えられる


忘れても反復して覚える作業を繰り返すことで,必ず頭のどこかに残ります。


特に限られた時間で問題文を読まなければならない国家試験では,直感的に「何か変だな?」と思えることは,とても大事なことです。


しっかり勉強をしてきた方が違和感を覚える選択肢はほとんど誤りだと思っても良いです。

そうなるためには,今の地道な勉強が何よりも大切です。


国家試験では,答えはこれだ!


とすぐ分かる問題はとても少ないです。


消去法で答えを導き出します。


そのため,少しでも冷静に,消去し,または分からない時には▲をつけることは極めて重要です。


今やっている勉強は,1つでも2つでも選択肢を消去するために行っていると言えるでしょう。


マークシート! 万歳!!


今日から科目は,児童・家庭福祉に入ります。


児童分野に関連した仕事をしていないとちょっと手ごわそうに感じるかもしれません。


しかし見方を変えると,障害者や低所得者よりももう少し身近なところに存在している領域であると言えます。


なぜなら,児童分野は自分が通り過ぎてきたもの,あるいは子どもがいれば現実問題だと言えますし,家庭分野もひとり親など,そんなに遠いものではないからです。


しかも,幾度も改正しているとは言え,この科目の中心は,戦後直後から70年も続いている児童福祉法です。その分,過去問の蓄積があります。


覚えるべき領域は広そうですが,ポイントをしっかり押さえると得点できるようになる科目です。


苦手意識は決して持たないことです。


それでは,今日の問題です。


第26回・138 

我が国の児童福祉の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。

2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。

3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。

4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。

5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。


現在の国家試験では,人名と実績を問うものは,この科目くらいです。


他の科目でも人名は出題されていますが,人名そのものよりも,その内容が合っているかを問う問題がほとんどです。



そういう意味で,単語カードを使った勉強法は,この科目の人名が一番向いていると言えます。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。


この年に受験した人がこの問題を見たとき,かなりドキッとしたことでしょう。高木先生はこの時点ではまだ出題が多くなかったからです。


選択肢の最初に難しいものを配置したときは,正しい選択肢は後半に配置させるのは,国家試験の常套手段です。


分からないときは,冷静に▲を付けましょう。


この時に冷静に▲を付けられないと,そんなに難しくないこの問題で失敗しますので,注意が必要です。


結果的に,この選択肢は誤りです。


高木先生は,東京帝国大学の整形外科教室の教授で,肢体不自由児の療育を実践しました。



濃尾大震災の孤児を救済するために活動したのは後述の石井亮一です。


2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。


留岡幸助は家庭学校を設立したのは正しいですが,少年教護法の制定の前か後かは分からないかもしれません。


こんな時は冷静に▲をつけましょう。


結果的にこの選択肢は誤りです。


しかしよく考えてみてください。


今の時代と違って,制度があって事業を始めるのではなく,制度がないところから始まるのです。


今あるほとんどの福祉サービスは,制度がないところから始まり,そのあとに制度がついてくるのです。


家庭学校を設立したのは明治期。

少年教護法ができたのは,昭和に入ってからです。


明治の豪傑は本当にすごいですね。


3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。


これは,まったくひねりがないです。間違いを作っています。


石井亮一は滝乃川学園,近江学園は糸賀一雄です。


よって×。


4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。


山室軍平は久しぶりの出題でした。


日本で救世軍を広めた人ですね。


キングクレー館を設立したのは片山潜です。


因みにバーナードに影響を受けたのは岡山孤児院の石井十次です。


よって×。


いろいろな要素をごちゃまぜにした選択肢です。


5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。


これはひねりがなく正解です。


ただ,野口幽香=二葉幼稚園


という単純図式で覚えるとだめです。


他の施設も同じですが,その施設はどのようなものであるかを覚えることが求められます。


選択肢5まで冷静にたどり着けた人だけが,正解できたと思います。


高木先生にダメージを受けて頭が真っ白になった人は,ここで正解するのは大変だったはずです。


<今日の一言>


消去法は,最高の解答テクニック!!

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