どれだけ勉強してもこれでよいと思えないのが辛いところです。
分からないものがあると更に不安は募ることでしょう。
心が不安に支配されると国試では力が発揮できないのでできるだけ排除したいものです。
国試は,6割程度取れれば合格できます。
分からないもの,覚えられないもの,は間違ってもよい4割の中に入っていると思えば,気も楽になるのではないでしょうか。
参考書に書かれているものをすべて覚えなくてもよいのです。
何度覚えようとしても覚えられないものは,思い切って捨てることも必要だと思います。
満点を取りにいく勉強は危険です。
第26回・問題87 質問紙作成の注意点に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「喫煙や飲酒を毎日しますか? (はい/いいえ)」のように,なるべく2つの事柄を1つの質問で尋ねるのが効率的である。
2 「増税すると福祉予算が増えますが,あなたは消費税率の引上げに賛成ですか」のように,回答者がよりよく考えて回答できるように質問に説明を含めるのが望ましい。
3 「あなたは年金支給開始年齢の引上げに賛成ですか」と聞く代わりに,賛成ですか,反対ですか」と聞くと,表現が簡潔でなくなるので望ましくない。
4 「個人の自由に最大限の配慮をしないケアは認められないという考えに反対する立場に,あなたは賛成ですか,反対ですか」という質問は,否定が重なり好ましくない。
5 質問する順番によって回答が変わることがあるので,回答してほしい選択肢が選ばれやすくなるような順番に配列するのが望ましい。
質問紙を上手に作ることは,対象を適切に測定するために重要です。
いくつかのコツや避けなければならないことがあります。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 「喫煙や飲酒を毎日しますか?(はい/いいえ)」のように,なるべく2つの事柄を1つの質問で尋ねるのが効率的である。
ダブルバーレルとは二連発銃のことです。この銃は,引き金を引くと銃弾が2つ出るようになっています。
ダブルバーレルの要素がある質問は不適切です。
なぜなら,喫煙は毎日しているが飲酒は毎日していない,あるいは喫煙は毎日していないが,飲酒は毎日している,といった人は答えられないからです。
よって適切な質問にはなり得ないので×。
「増税すると福祉予算は増えますが・・・」といった質問は,答えを誘導する誘導質問は不適切です。
よって×。
ほかには「評論家の〇〇さんは消費税率の引上げに賛成ですが,あなたは消費税率の引上げに賛成ですか」といった質問は威光暗示効果と言われますが,これも不適切な質問です。
3 「あなたは年金支給開始年齢の引上げに賛成ですか」と聞く代わりに,賛成ですか,反対ですか」と聞くと,表現が簡潔でなくなるので望ましくない。
①「あなたは年金支給開始年齢の引上げに賛成ですか」
②「あなたは年金支給開始年齢の引上げに反対ですか」
イエステンデンシーの影響で,①は賛成が多くなり,②は反対が多くなります。
これを避けるための偏りのない質問には,「賛成ですか,反対ですか」と聞く方法があります。この質問だと「はい」「いいえ」で答えらないので,イエステンデンシーの影響がなくなります。
よって望ましくない,ではなく望ましい質問なので×。
4 「個人の自由に最大限の配慮をしないケアは認められないという考えに反対する立場に,あなたは賛成ですか,反対ですか」という質問は,否定が重なり好ましくない。
否定が重なっている質問は,分かりにくいです。
今は文字を読んでいるので分かると思いますが,耳で聞いたときは,もう一度聞き直さなければ理解できない回りくどい表現です。
質問はなるべく分かりやすいものにすべきです。
よって正解です。
5 質問する順番によって回答が変わることがあるので,回答してほしい選択肢が選ばれやすくなるような順番に配列するのが望ましい。
前の質問が次の質問に影響が及ぶことがあります。
これをキャリーオーバー効果と言います。
質問紙を作成する場合は,できるだけキャリーオーバー効果が出ないようにしなければなりません。
よって×。
イエステンデンシーやキャリーオーバー効果などを悪用すると,調査対象者の回答を操作することができます。
そのため,新聞社などが実施する世論調査では,どんな質問をして得られた結果なのかを示すことがあります。
質問紙を作成する場合は,これらに配慮して作成することが大切です。