決して合格は難しくないのに,勉強不足で不合格になるのはもったいないです。
昔から自分は
記憶するのが得意だ
という方なら,短期決戦に向くかもしれません。
なぜなら,このような人は覚え方のコツを知っているからです。
もし
記憶するのはそんなに得意ではない
と感じているなら,夏場は特に重要な時期と言えます。
同じことを何度も書きますが,ある程度基礎力をつけるには時間がかかります。
チームfukufuku21は,最低4か月は必要だと見積もっています。
スタートが遅くなればなるほど,合格が厳しくなっていくのは,火を見るよりも明らかです。
さあ,ここで本気を出しましょう!!
さて,今日の問題です。
第26回・問題149
「医療観察法」が定める医療観察制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「医療観察法」が制定されたことにより,「精神保健福祉法」が定めていた措置入院の制度は廃止された。
2 「医療観察法」が規定する審判は,地方裁判所において裁判官と裁判員との合議体により行われる。
3 裁判所により入院命令が言い渡された場合,その対象者に対して医療を実施する指定入院医療機関は. 法務大臣が指定した病院である。
4 精神保健観察の実施機関は,法務省が所管する保護観察所であり,保護観察所に配属される社会復帰調整官がその事務に従事する。
5 入院によらない医療を受けさせるいわゆる通院決定がなされた場合,その通院医療の期間には制限がない。
医療観察法は,更生保護法と並び,もう一つの山と言えます。
医療観察法の覚えるポイントはとても少ないです。
それでは,詳しく見ていきましょう。
1 「医療観察法」が制定されたことにより,「精神保健福祉法」が定めていた措置入院の制度は廃止された。
精神保健福祉法の措置入院は,自傷他害の恐れがある時に,精神保健指定医2人以上が診察して一致した場合に都道府県知事等の措置によって行われる入院形態です。
精神保健福祉法による入院形態
任意入院
医療保護入院
措置入院
緊急措置入院
応急入院
の違いをしっかり覚えておきましょう。
医療観察の目的とは・・・
心神喪失または心神耗弱の状態で,殺人,強盗,放火,不同意性交等,不同意わいせつ,傷害,の重大な他害行為を行った者の社会復帰を促進すること。
精神保健福祉法の措置入院は「自傷他害の恐れがある場合」の入院です。
医療観察とはまったく違います。
当然今も措置入院に限らず,精神保健福祉法による入院はあります。
よって×。
2 「医療観察法」が規定する審判は,地方裁判所において裁判官と裁判員との合議体により行われる。
裁判員制度は国民が審判にかかわることで裁判が身近で分かりやすいものになることを期待されて導入されたものです。
裁判員のような精神保健福祉の素人が審判するわけがありません。
裁判官と精神医療の専門家である精神科医が選任される精神保健審判員の合議体で審判します。
よって×。
医療観察は,そんなに簡単に行われるものではありません。
3 裁判所により入院命令が言い渡された場合,その対象者に対して医療を実施する指定入院医療機関は,法務大臣が指定した病院である。
更生保護制度も医療観察制度も福祉の領域のものではなく,司法制度の領域のものです。
管轄しているのはもちろん厚生労働省ではなく,法務省ということになります。
縦割りになっていることが多い行政ですが,医療は専門外の法務大臣が医療機関を指定するのは,危険極まりないです。
餅は餅屋。
医療は厚生労働大臣の協力が必要です。
指定は厚生労働大臣が行います。
よって×。
医療観察は,指定入院医療機関と指定通院医療機関で実施します。
私立病院も通院医療機関の指定を受けることができますが,入院医療機関の指定は,私立病院は指定を受けられず,国,都道府県の設置する病院に限定されています。
この部分は,第一種社会福祉事業の実施主体に似ていますね。
福祉の場合は社会福祉法人という特殊法人も第一種社会事業を行なうことができます。
4 精神保健観察の実施機関は,法務省が所管する保護観察所であり,保護観察所に配属される社会復帰調整官がその事務に従事する。
精神保健観察は,入院によらない医療を行う通院決定がなされた場合,通院治療しながら社会復帰調整官の見守り助言を受けて地域生活を送るものです。
精神保健観察は,更生保護法に規定される保護観察所が実施機関となって行われます。
よって正解です。
保護観察所は,保護観察と医療観察を行い,保護観察官と社会復帰調整官が配置されています。
5 入院によらない医療を受けさせるいわゆる通院決定がなされた場合,その通院医療の期間には制限がない。
期間には原則3年間という制限があります。
必要な場合は最長2年間の範囲で延長もあります。
よって×。
何度も同じことを書きますが,この科目は多くの人があまり勉強しないものです。
しかし範囲は狭いのでちょっと勉強すれば,すぐ得点力がつく科目です。
こんなところで数点の差がつくものです。
勉強すれば取れる問題を確実に得点していくのが,実は最も合格に近づくことになります。
〇〇が出るかもしれないよ。一応見ておいてください
そういう先生は多いです。
しかしチームfukufuku21はそういうことを言って,受験生の覚えさせる範囲を広げさせる先生は嫌いです。
そう言った先生は,そこから出題されれば「ほらね」と自己満足するでしょう。
しかし,どこから出題されるか分からない白書や報告書に目を通しても,それを押さえておくことはかなり難しいです。
気分転換に目を通しておく程度が良いのではないでしょうか。
覚える範囲を広げさせる先生は,受験生に何点取らせるつもりなのかなぁ,と思ってしまいます。
6割取るのは決して簡単なことではありませんが,基本ポイントを押さえていけば必ず合格基準点は超えられます。
中途半端な知識がたくさんあるよりも,数は少なくても確実な知識があった方が得点できます。
国試は,みんなが思うほど,深い知識は求められていません。
ましてや広い知識がなくても何とかなります。
再受験を目指す人は,国試に失敗したのは知識が足りなかったからだ,と考えていませんか?
合格・不合格は,紙一重の差です。
国試に合格できなかったのは,本来なら解けた問題でミスしてしまったことが大きいです。
<今日の一言>
「知識が足りなかった」と思って,知識を増やすのは失敗の元です。
基本ポイントを押さえていけば,必ず合格基準点は超えられます!!