2024年5月16日木曜日

難しそうでも,実はそんなに難しくない!

 国家試験は・・・


決して正解するのが難しい問題が出題されているわけではない!!


まだ,勉強に本腰が入っていない方にお伝えしたいのは,合格,不合格はほんのちょっとの差であるということです。


たくさんの問題に触れる時間は必ず設けてほしいと思います。


解説されると「あぁ,分かった」と思うことでしょう。


国試では自分の実力で答えを引き出さなければなりません。

ヒントを教えてくれる人はいません。


それによって必ず最後の1・2点はゲットできるはずです。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題123 

社会福祉法人に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 経営の透明性の確保は,不祥事防止の観点からは不可欠であるが,利用者の利益の保護とは相反する。

2 税制上の優遇措置や各種の助成に対して公的なチェックが行われることから,外部に対するそれ以上の経営の透明性は求められていない。

3 事業報告書,財務諸表の情報開示は,事業経営の適正性を確保するためのもので,利用者のサービス選択に資する目的はない。

4 自主的な経営機能の強化及び内部牽制体制の確立の観点から,社会福祉法人の代表権は,理事長のみが有することになっている。

5 社会福祉事業経営者としての自主性・自律性を発することによって,地域の様々な福祉需要の実態への対応が期待されている。


社会福祉法人制度改革の骨子


1 経営組織のガバナンスの強化

 議決機関としての評議員会を必置(小規模法人について評議員定数の経過措置),一定規模以上の法人への会計監査人の導入 等


2 事業運営の透明性の向上

 財務諸表・現況報告書・役員報酬基準等の公表に係る規定の整備 等


3 財務規律の強化(適正かつ公正な支出管理・いわゆる内部留保の明確化・社会福祉充実 役員報酬基準の作成と公表,役員等関係者への特別の利益供与の禁止 等

 「社会福祉充実残額(再投下財産額)」の明確化

 「社会福祉充実残額」を保有する法人に対して,社会福祉事業又は公益事業の新規実施・拡充に係る計画の作成を義務付け 等


4 地域における公益的な取組を実施する責務

 社会福祉事業及び公益事業を行うに当たって,無料又は低額な料金で福祉サービスを提供することを責務として規定


これらは,押さえておきましょう。問題を解くときのベース的な知識となります。


さて,詳しく見ていきましょう。


1 経営の透明性の確保は,不祥事防止の観点からは不可欠であるが,利用者の利益の保護とは相反する。


制度改革前の出題ですが,それを考慮して作成したのはないのか,と思うような出題です。

経営の透明性が,利用者の不利益になるはずがありません。


よって×。


2 税制上の優遇措置や各種の助成に対して公的なチェックが行われることから,外部に対するそれ以上の経営の透明性は求められていない。


3つめの選択肢にあるように,この出題時点でも,事業報告書,財務諸表の情報開示は行われています。

もちろん外部に対する経営の透明性は求められます。


よって×。


3 事業報告書,財務諸表の情報開示は,事業経営の適正性を確保するためのもので,利用者のサービス選択に資する目的はない。


実際に活用することは少ないかもしれませんが,事業所を選ぶための情報になります。


よって×。


4 自主的な経営機能の強化及び内部牽制体制の確立の観点から,社会福祉法人の代表権は,理事長のみが有することになっている。


これは勉強していないと分かりにくいと思いますが,社会福祉法人代表権は,理事すべてが代表権を持っています。


よって×。


ただし,定款で限定することはできます。


5 社会福祉事業経営者としての自主性・自律性を発することによって,地域の様々な福祉需要の実態への対応が期待されている。


この選択肢が,今日の社会福祉法人改革につながるものです。


「地域における公益的な取組を実施する責務」です。


よって正解。

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