今回は,老人福祉法を学びます。
こんにちの高齢者の介護ニーズには,介護保険法による介護サービスを提供しますが,老人福祉法は今も重要です。
市町村長の措置によって介護サービスを提供することもあるからです。
緊急性がある場合,介護保険による契約ができない場合,虐待によって世帯分離を行う場合などに措置が行われます。
それでは今日の問題です。
第33回・問題134
老人福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村は,市町村老人福祉計画において,当該市町村の区域において確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるものとしている。
2 養護老人ホームの入所要件は,60歳以上の者であって,経済的理由により居宅において介護を受けることが困難な者としている。
3 老人福祉法に基づく福祉の措置の対象となる施設の一つとして,救護施設が含まれている。
4 特別養護老人ホームについて,高齢者がやむを得ない事由により自ら申請できない場合に限って,市町村の意見を聴いた上で都道府県が入所措置を行う。
5 老人介護支援センターは,介護保険法の改正(2005年(平成17年))に伴って,老人福祉法から削除され,介護保険法上に規定された。
1 市町村は,市町村老人福祉計画において,当該市町村の区域において確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるものとしている。
これが正解です。
老人福祉事業とは,老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設のことです。
老人福祉計画で定める内容
市町村老人福祉計画 |
都道府県老人福祉計画 |
老人福祉事業(老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業)の量の目標など。 |
養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの必要入所定員総数その他老人福祉事業の量の目標など。 |
都道府県は,入所系サービスが加わっているところに着目して覚えます。
2 養護老人ホームの入所要件は,60歳以上の者であって,経済的理由により居宅において介護を受けることが困難な者としている。
養護老人ホームの入所対象年齢は65歳以上です。
養護老人ホームは老人福祉法の中でもとても重要です。
入所要件に経済的理由が含まれている理由は,養護老人ホームのルーツは,救護法に規定されていた養老院だからです。
戦後,生活保護法によって,養老施設となり,老人福祉法で養護老人ホームとなり,現在に至ります。
なお,養護老人ホームの入所要件は,「65歳以上の者であって,環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難なもの」です。
3 老人福祉法に基づく福祉の措置の対象となる施設の一つとして,救護施設が含まれている。
救護施設は,生活保護法に基づく保護施設です。根拠法は老人福祉法ではありません。
4 特別養護老人ホームについて,高齢者がやむを得ない事由により自ら申請できない場合に限って,市町村の意見を聴いた上で都道府県が入所措置を行う。
特別養護老人ホームの入所措置は,市町村が行います。
1990年(平成2年)の福祉関係八法改正で,入所措置が都道府県から町村に権限移譲されています。
細かい理由ですが,「市町村」ではなく,「町村」である理由は,市には福祉事務所があるため,もともと入所措置を行っていたためです。
5 老人介護支援センターは,介護保険法の改正(2005年(平成17年))に伴って,老人福祉法から削除され,介護保険法上に規定された。
老人介護支援センターは,今も老人福祉法のままです。
老人福祉法が定める老人福祉施設
・老人デイサービスセンター ・老人短期入所施設 ・養護老人ホーム ・特別養護老人ホーム ・軽費老人ホーム ・老人福祉センター ・老人介護支援センター |