1947年(昭和22年)に作られた児童福祉法は,何度も何度も改正され,現在も児童福祉の中心的法制度として重要な位置づけにあります。
特に近年では,児童虐待が増加する中,それに対応するための改正が続いています。
今日の問題もそんな問題です。
第33回・問題137
2019年(令和元年)に改正された児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 児童相談所における介入担当と保護者支援担当は,同一の児童福祉司が担うこととなった。
2 児童相談所の業務の質について,毎年,評価を実施することが義務づけられた。
3 親権者は,児童のしつけに際して体罰を加えてはならないとされた。
4 特別区(東京23区)に,児童相談所を設置することが義務づけられた。
5 一時保護の解除後の児童の安全の確保が,市町村に義務づけられた。
2019年の改正法は「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」という名称で,改正の趣旨は,児童虐待防止対策の強化を図るため,児童の権利擁護,児童相談所の体制強化及び関係機関間の連携強化等の所要の措置を講ずることでした。
それでは解説です。
1 児童相談所における介入担当と保護者支援担当は,同一の児童福祉司が担うこととなった。
この改正で行われたのは,一時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける等の措置を講ずることでした。
2 児童相談所の業務の質について,毎年,評価を実施することが義務づけられた。
児童相談所の業務の質を評価することは,努力義務です。
3 親権者は,児童のしつけに際して体罰を加えてはならないとされた。
これが正解です。
「親権者は,児童のしつけに際して体罰を加えてはならない」と明文化されました。
この時の改正では,同時に児童福祉施設の長等についても体罰禁止が規定しています。
4 特別区(東京23区)に,児童相談所を設置することが義務づけられた。
特別区の児童相談所の設置は,任意です。
この改正によって,児童相談所の設置は以下のようになりました。
都道府県・指定都市 |
義務 |
中核市・特別区 |
任意 |
5 一時保護の解除後の児童の安全の確保が,市町村に義務づけられた。
一時保護の解除後の児童の安全の確保が義務づけられたのは,児童相談所です。