2024年11月11日月曜日

パーソナルな質問とインパーソナルな質問

 

今回,取り上げるのは,パーソナルな質問とインパーソナルな質問です。

 

パーソナルな質問は,調査対象者本人の意見を尋ねる質問です。

 

インパーソナルな質問は,調査対象者本人にかかわらない一般的な意見を尋ねる質問です。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題88 

質問紙の作成に当たっての留意点に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 一つの質問文で複数の事項を問うことは,複数の回答が同時に得られるので,質問紙の作成において望ましいと考えられている。

2 パーソナルな質問とは社会一般的な意見について尋ねる質問であり,インパーソナルな質問とは調査対象者自身の意識や行動について尋ねる質問である。

3 質問文を作成するときには,調査対象者に関心を持ってもらうために,一般的に固定的なイメージを持つステレオタイプな用語を使う必要がある。

4 社会的に望ましい結果を得るために,誘導的な質問をすることは質問紙の作成として適切である。

5 前の質問文の内容が次の質問文の回答に影響を与えないように,注意を払う必要がある。

 

選択肢2に今日のテーマが出題されています。

 

質問紙を作成する場合の留意点 

ダブルバーレル質問

一つの質問に複数の要素を含んだ質問。

イエステンデンシー

「いいえ」と答えるよりも「はい」と答えることのほうが答えやすい傾向にあること。

キャリーオーバー効果

前の質問が次の質問に影響を与えること。

ステレオタイプ

特定の意味を含んだ言葉のこと。過去問では「市民運動」という表現と「草の根の市民運動」という表現を例に出題されている。


こういったものに配慮しながら,質問紙を作成することが必要です。

それでは,解説です。


 1 「糖尿病予防のために食事や運動に気を付けていますか」というように,複数の事柄は一つの質問文で尋ねる方が望ましい。

 

この質問がダブルバーレル質問です。

 

「食事」や「運動」というところがダブルバーレルになっています。

 

食事は気をつけているが,運動は気をつけていない。

食事は気をつけていないが,運動は気をつけている。

 

という人もいます。そういった人は,答えられなくなってしまいます。

 

こういった場合は,2つの質問に分けます。

 

2 前の質問の回答が次の質問の回答に影響を与えることを促すような質問の順番にすることが望ましい。

 

前の質問の回答が次の質問の回答に影響を与えることは,キャリーオーバー効果といいます。

 

キャリーオーバー効果を悪用すれば,結論的な質問を「はい」でも「いいえ」でも導くことができます。

 

そのため,キャリーオーバー効果が出ないように気をつけて問題を配置しなければなりません。

 

3 「家事は一般的に夫婦で平等に分担すべきですか」という質問文では,回答者が自分の家庭でそうすべきだと考えているかどうかは分からない。

 

これが正解です。

 

「家事は一般的に夫婦で平等に分担すべきですか」という質問文は,インパーソナル質問といいます。

 

インパーソナル質問では,個人的な考えはわかりません。

 

個人的な考えを知るためには「あなたは・・・」という質問である「パーソナル質問」で尋ねます。

 

4 意識調査の質問では,回答を明確にするために「どちらともいえない」という選択肢を設けてはならない。

 

「どちらともいえない」は,必要です。

 

そうでないとどちらでもない人は答えられません。

 

5 調査票のレイアウトや色を工夫することは,回答をゆがめることになるので行うべきではない。

 

質問票のレイアウトや色を配慮することは欠かせません。

 

文字が小さいと高齢者は読みにくいですし,紙の色と文字の色が同系色ならこれも読みにくいものになります。

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