今回は,社会福祉調査の倫理を学びます。
前説なしに今日の問題です。
第33回・問題85
社会調査の倫理に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉施設利用者に聞き取り調査をする際,聞き漏らしを防ぐための録音は,不安感を抱かせるので,調査対象者に告げずに行った。
2 介護施設で職員へのマネジメントに関する調査をする際,施設長に対する職員の評価を正確に把握するために,全員に記名式の質問紙の提出を義務づけた。
3 社会福祉学部の学生からの依頼で質問紙調査をする際,いつも出入りしている学生だったため,施設利用者に特に説明することなく質問紙を配布した。
4 社会福祉施設利用者の家族の実情を聴く際,第三者が出入りしない個室で聞き取り調査を行った。
5 施設にボランティア活動に来る小学生に質問紙調査をする際,本人たちの了承を得るだけでよい。
問題づくりが下手なために,知識なしでも正解できるタイプです。
このような問題は,今後は出題されなくなるでしょう。
正解は,ご想像のとおり,選択肢4です。
4 社会福祉施設利用者の家族の実情を聴く際,第三者が出入りしない個室で聞き取り調査を行った。
この問題には解説は必要ないでしょう。しかし,簡単に解説します。
1 社会福祉施設利用者に聞き取り調査をする際,聞き漏らしを防ぐための録音は,不安感を抱かせるので,調査対象者に告げずに行った。
録音は,調査対象者の承諾が必要です。
2 介護施設で職員へのマネジメントに関する調査をする際,施設長に対する職員の評価を正確に把握するために,全員に記名式の質問紙の提出を義務づけた。
名前を書く「記名式」では,施設長に忖度してしまい,正確な評価を書くことでできないでしょう。
無記名式が適切です。
3 社会福祉学部の学生からの依頼で質問紙調査をする際,いつも出入りしている学生だったため,施設利用者に特に説明することなく質問紙を配布した。
調査対象者には,目的等を伝えて,承諾を得て実施することが必要です。
4 社会福祉施設利用者の家族の実情を聴く際,第三者が出入りしない個室で聞き取り調査を行った。
先述のようにこれが正解です。
個室で聞き取り調査を行うことは,プライバシーへの配慮の面で適切です。
5 施設にボランティア活動に来る小学生に質問紙調査をする際,本人たちの了承を得るだけでよい。
社会調査協会の倫理規定では,以下のように規定されています。
第7条 調査対象者が年少者である場合には,会員は特にその人権について配慮しなければならない。 調査対象者が満15歳以下である場合には,まず保護者もしくは学校長などの責任ある成人の承諾を得なければならない。 |