今回から「社会福祉調査の基礎」を学んでいきます。
新しいカリキュラムでは「社会福祉調査のデザイン」が含まれていますが,過去問にはありません。
しかし,そこを押さえずとも,ほかの部分で十分に補えると思います。
決して怖い科目ではありません。
満点を取るのは難しいですが,6問中4~5点は可能なのではないかと思います。
それでは,前説なしに今日の問題です。
第33回・問題84
政府が行う社会調査の対象に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国勢調査は,日本に常住する外国人を対象としない。
2 労働力調査は,調査時に求職中の人も対象とする。
3 社会保障生計調査は,被保護世帯を対象としない。
4 国民生活基礎調査は,20歳未満の国民を対象としない。
5 家計調査は,学生の単身世帯も対象とする。
「社会福祉調査の基礎」っぽくない問題ですが,新しいカリキュラムの出題基準では「社会福祉調査の意義と目的」の「公的統計と政策決定」あたりの問題だと言えます。
つまり,ほかの科目で出題される公的統計の知識がこの科目で生かされます。
各科目は単独で存在しているたけではなく,さまざまな科目とオーバーラップしています。
地道な勉強は,実力全体の底上げにつながります。
それでは,解説です。
1 国勢調査は,日本に常住する外国人を対象としない。
国勢調査は,調査時点で日本に常駐するすべての者を対象として実施します。
なお,常駐とは,当該住居に3か月以上住んでいる,あるいは住むことになっている者をいいます。
外国人も対象とします。
2 労働力調査は,調査時に求職中の人も対象とする。
これが正解です。
労働力調査は,日本に居住している全人口を対象として実施します。
ただし,全数調査で行われる国勢調査とは異なり,労働力調査は標本抽出で行っています。
労働力調査という名称ですが,実際には,就業状況だけではなく,不就労状況も一緒に調査しています。
3 社会保障生計調査は,被保護世帯を対象としない。
社会保障生計調査という聞きなれないものが登場しました。しかし,こういったものには正解はないことが多いものです。
社会保障生計調査という名称ですが,実は,この調査は,被保護世帯の家計収支の実態を明らかにする調査です。
4 国民生活基礎調査は,20歳未満の国民を対象としない。
国民生活基礎調査は,基幹統計に指定されている調査です。
調査対象は,全国の世帯及び世帯員です。
そのうち,以下については除外されます。
・単身赴任者
・出稼ぎ者
・長期入院中の者
・寄宿舎に居住する単独世帯 など
20歳未満の者であっても上記に当てはまらない者は調査の対象となります。
5 家計調査は,学生の単身世帯も対象とする。
家計調査は,全国の世帯を対象としますが,学生の単身世帯などは除外されています。
その理由は,世帯としての収入と支出を正確に計ることが困難なためです。