2024年11月24日日曜日

子どもの貧困対策の推進に関する法律

出題基準に示されている「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は,2024年(令和6年)に改正され,「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」となりました。

 

法の目的

この法律は、貧困により、こどもが適切な養育及び教育並びに医療を受けられないこと、こどもが多様な体験の機会を得られないことその他のこどもがその権利利益を害され及び社会から孤立することのないようにするため、日本国憲法第二十五条その他の基本的人権に関する規定、児童の権利に関する条約及びこども基本法の精神にのっとり、こどもの貧困の解消に向けた対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及びこどもの貧困の解消に向けた対策の基本となる事項を定めることにより、こどもの貧困の解消に向けた対策を総合的に推進することを目的とする。

 

法の目的に,憲法第25条のことを述べられているのは,生活保護法以外では初めてかもしれません。

 

 

基本理念

・子どもの貧困対策は、社会のあらゆる分野において、子どもの年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、子どもが心身ともに健やかに育成されることを旨として、推進されなければならない。

・子どもの貧困対策は、子ども等に対する教育の支援、生活の安定に資するための支援、職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として、子ども等の生活及び取り巻く環境の状況に応じて包括的かつ早期に講ずることにより、推進されなければならない。

・子どもの貧困対策は、子どもの貧困の背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、推進されなければならない。

・子どもの貧困対策は、国及び地方公共団体の関係機関相互の密接な連携の下に、関連分野における総合的な取組として行われなければならない。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題141

子どもの貧困対策の推進に関する法律に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 基本理念として,子どもの貧困対策が児童虐待の予防に資するものとなるよう,明記している。

2 子どもの貧困対策では,子どもの年齢及び発達の程度に応じて,その意見が尊重され,その最善の利益が優先して考慮されなければならない。

3 政府は2年ごとに,子どもの貧困の状況と貧困対策の実施状況を公表しなければならない。

4 社会福祉協議会は,貧困の状況にある子どもの保護者に対する就労支援に関して必要な対策を講じなければならない。

5 文部科学省に,特別の機関として,子どもの貧困対策会議を置く。

 

子どもの貧困対策の推進に関する法律が出題されたのは,現時点(第36回国家試験実施後)このときの一回だけです。

 

それでは,解説です。

 

1 基本理念として,子どもの貧困対策が児童虐待の予防に資するものとなるよう,明記している。

 

このような規定はありません。

 

2 子どもの貧困対策では,子どもの年齢及び発達の程度に応じて,その意見が尊重され,その最善の利益が優先して考慮されなければならない。

 

これが正解です。

 

これと同様の規定は,児童福祉法にもあります。

 

全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。

 

「その意見が尊重され」と規定されている理由は,「児童の権利に関する条約」が保障する「能動的権利」を反映しているからです。

 

3 政府は2年ごとに,子どもの貧困の状況と貧困対策の実施状況を公表しなければならない。

 

公表は毎年度です。

 

4 社会福祉協議会は,貧困の状況にある子どもの保護者に対する就労支援に関して必要な対策を講じなければならない。

 

貧困の状況にある子どもの保護者に対する就労支援に関して必要な対策を講じなければならないのは,国及び地方公共団体です。

 

5 文部科学省に,特別の機関として,子どもの貧困対策会議を置く。

 

子どもの貧困対策会議は,内閣府に置かれています。

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