今日は,アクション・リサーチを学びます。
言葉からイメージしにくいかもしれませんが,ほかの調査手法と大きく違う点は,調査の過程を通して,問題解決を図ることを重視することです。
そのため,調査手法には,PDCAサイクルが用いられます。
アクション・リサーチの「アクション」とは,PDCAサイクルのA(実行)を指しています。
問題解決の実行があってこそ,アクション・リサーチと言えます。
それでは今日の問題です。
第22回・問題82
アクション・リサーチと参与観察に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1 アクション・リサーチでは,量的調査の手法を適用することは望ましくない。
2 アクション・リサーチでは,研究者の質問に対する調査対象者の回答の本音が何であるかを,臨床心理学の方法に基づいて解釈する。
3 アクション・リサーチでは,調査を行う研究者が当事者と協働して,両者が関与する問題の解決も目指しつつ調査や実践を進める。
4 参与観察では,調査者が調査対象者となる個人とラポールを築くことができるので,他の調査手法よりも客観的な結果を導くことができる。
5 参与観察とアクション・リサーチの違いは,前者が実践的な問題解決を重視するのに対し,後者は観察に基づく理論的研究を重視することにある。
正解はすぐわかるでしょう。
正解は,選択肢3です。
3 アクション・リサーチでは,調査を行う研究者が当事者と協働して,両者が関与する問題の解決も目指しつつ調査や実践を進める。
一応,ほかの選択肢も解説します。
1 アクション・リサーチでは,量的調査の手法を適用することは望ましくない。
アクション・リサーチでも量的調査の手法を用いることは適切です。
問題の様子を数字で表すことで客観的になります。
2 アクション・リサーチでは,研究者の質問に対する調査対象者の回答の本音が何であるかを,臨床心理学の方法に基づいて解釈する。
これは,アクション・リサーチとは何かを理解していない受験生を引っ掛けるためのでたらめ選択肢です。
4 参与観察では,調査者が調査対象者となる個人とラポールを築くことができるので,他の調査手法よりも客観的な結果を導くことができる。
参与観察は,ラポールを築くことはできますが,オーバーラポールになると客観的になりにくくなります。
5 参与観察とアクション・リサーチの違いは,前者が実践的な問題解決を重視するのに対し,後者は観察に基づく理論的研究を重視することにある。
参与観察とアクション・リサーチの説明が逆になっています。