2022年11月19日土曜日

資源の配分における貢献原則とニーズ原則~その2

今回も貢献原則とニーズ原則に関する問題です。


まずは,前回のものを復習です。

前回の問題

https://fukufuku21.blogspot.com/2022/11/blog-post_18.html


それでは今日の問題です。


第22回・問題26 福祉政策における需要とニーズ(必要)の概念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 ニーズ(必要)に応じた分配とは,人々の出身,能力,貢献などとは無関係に,各人が必要とする資源を分配することを意味する。

2 福祉サービスの需要のうち,その存在が気付かれていないものを無効需要ないし潜在需要といい,気付かれているものを有効需要という。

3 必要即応の原則とは,福祉サービスは,年齢や性別など個人や世帯の相違を考慮して有効かつ適切に提供すべきことを意味し,社会福祉法で定められている。

4 福祉サービスに対する行政需要とは,国民の政府に対する要求や要望のうち,市場を通じて供給することが特に可能な消費者の需要のことである。

5 ブラッドショー(Bradsbaw,J.)のいう「エクスプレスト・ニード」とは,専門家が自らの経験に基づいて感じとったニーズ(必要)のことを意味する。


答えはすぐわかると思いますが,決して簡単なものではありません。


なぜなら,消去法では正解することができないからです。


それでは解説です。


1 ニーズ(必要)に応じた分配とは,人々の出身,能力,貢献などとは無関係に,各人が必要とする資源を分配することを意味する。


これが正解です。


ニーズ原則(必要原則)について述べたものです。


ニーズ原則(必要原則)は,必要としている人に資源を配分する原則で,社会扶助,特に公的扶助がその代表です。


2 福祉サービスの需要のうち,その存在が気付かれていないものを無効需要ないし潜在需要といい,気付かれているものを有効需要という。


これは,その後は一度も出題されていないものです。


潜在需要は,その存在が気付かれていないものであることは適切ですが,有効需要は,その存在が気付かれているだけではなく,利用することが可能なことをいいます。


3 必要即応の原則とは,福祉サービスは,年齢や性別など個人や世帯の相違を考慮して有効かつ適切に提供すべきことを意味し,社会福祉法で定められている。


必要即応の原則が定められているのは,生活保護法です。必要即応の原則は,保護の原理・原則の一つです。


4 福祉サービスに対する行政需要とは,国民の政府に対する要求や要望のうち,市場を通じて供給することが特に可能な消費者の需要のことである。


行政需要は,行政に対する要望のことです。


5 ブラッドショー(Bradsbaw,J.)のいう「エクスプレスト・ニード」とは,専門家が自らの経験に基づいて感じとったニーズ(必要)のことを意味する。


ブラッドショーのニーズの分類は,このように英語でも出題されるので要注意です。


エクスブレスト・ニードは,表出されたニードのことです。つまりニーズを感じ取るのは専門家ではなく,本人だということになります。その上で,ニーズを充足するために行動することが表出されたニードです。

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