今日は,エスピン-アンデルセンが論じた福祉レジーム論を取り上げます。
まずは,今日の問題です。
第34回・問題24 福祉政策の学説に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ローズ(Rose,R.)は,経済成長,高齢化,官僚制が各国の福祉国家化を促進する要因であるという収斂理論を提示した。
2 エスピン-アンデルセン(Esping-Andersen,G.)は,自由主義・保守主義・社会民主主義という3類型からなる福祉レジーム論を提示した。
3 マーシャル(Marshall,T.)は,社会における福祉の総量(TWS)は家庭(H),市場(M),国家(S)が担う福祉の合計であるという福祉ミックス論を提示した。
4 ウィレンスキー(Wilensky,H.)は,福祉の給付を「社会福祉」「企業福祉」「財政福祉」に区別した福祉の社会的分業論を提示した。
5 ティトマス(Titmuss,R.)は,市民権が18世紀に市民的権利(公民権),19世紀に政治的権利(参政権),20世紀に社会的権利(社会権)という形で確立されてきたという市民権理論を提示した。
まずは答えからです。
1 ローズ(Rose,R.)は,経済成長,高齢化,官僚制が各国の福祉国家化を促進する要因であるという収斂理論を提示した。
ローズが提唱したのは,福祉ミックス論です。
2 エスピン-アンデルセン(Esping-Andersen,G.)は,自由主義・保守主義・社会民主主義という3類型からなる福祉レジーム論を提示した。
これが正解です。
3 マーシャル(Marshall,T.)は,社会における福祉の総量(TWS)は家庭(H),市場(M),国家(S)が担う福祉の合計であるという福祉ミックス論を提示した。
マーシャルが提唱したのは,市民権理論です。
4 ウィレンスキー(Wilensky,H.)は,福祉の給付を「社会福祉」「企業福祉」「財政福祉」に区別した福祉の社会的分業論を提示した。
ウィレンスキーが提唱したのは,収斂理論です。
5 ティトマス(Titmuss,R.)は,市民権が18世紀に市民的権利(公民権),19世紀に政治的権利(参政権),20世紀に社会的権利(社会権)という形で確立されてきたという市民権理論を提示した。
ティトマスが提唱したのは,社会的分業論です。
さて,エスピン-アンデルセンの福祉レジーム論です。
エスピン-アンデルセンは,一定の指標から福祉国家を分類しました。
エスピン-アンデルセンが用いた指標
脱商品化 |
個人又は家族が(労働)市場参加の有無にかかわらず,一定水準の生活を維持することができること。 |
社会階層化 |
職種や社会的階層に応じて給付やサービスに差があること。 |
脱家族化 |
家族による福祉負担を軽減すること。 |
福祉レジームによる類型化
自由主義レジーム |
市場の役割が大きい国々 |
イギリス,アメリカなど |
保守主義レジーム |
家族や職域の役割が大きい国々 |
ドイツ,フランスなど |
社会民主主義レジーム |
国家の役割が大きい国々 |
スウェーデン,デンマークなど |
日本はどこにも分類されません。