今回は「計画立案(プランニング)」です。
計画立案(プランニング)は,クライエントのニーズを充足するためのものでなければなりません。
社会福祉士の国試では,深いところまで出題されることはありませんが,実際の現場では,どのようにクライエントのニーズを反映するのかが常に問われるものです。
それでは早速今日の問題です。
第22回・問題97 相談授助過程のプランニングに関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1 プランニングは,アセスメントと援助の実施とつなぐ作業である。
2 プランニングでは,最も理想的な対策を立てることが求められる。
3 プランニングでは,利用者への援助の即効性ではなく,長期目標の達成を目指す。
4 プランニングでは,利用者が問題を抱えて動揺している場合,援助計画にクライエントを関与させない。
5 プランニングでは,利用者の要望に積極的に応えるような計画を立てる。
うっかりすると,どれも正解に見えてきてしまうような問題です。
気を付けなければなりません。
正解は,選択肢1
1 プランニングは,アセスメントと援助の実施とつなぐ作業である。
プランニングの内容ではなく,相談援助のプロセスでプランニングがどこに位置しているかの知識が求められた問題です。
相談援助の過程(プロセス)
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受理面接(インテーク)
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事前評価(アセスメント)
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支援計画(プランニング)
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支援の実施(インターベンション・介入)
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経過観察(モニタリング)
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支援の終結(ターミネーション)
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終結後の支援(アフターケア)
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これでわかるように,プランニングは,アセスメントと支援の実施の間にあります。
この問題では,それを「つなぐ」と表現しています。
違和感を抱く人もいるかもしれませんね。
ほかの選択肢も確認してみましょう
2 プランニングでは,最も理想的な対策を立てることが求められる。
理想というのは,ワーカーの理想でしょうか,クライエントの理想でしょうか。
個々に思い浮かべる理想は異なるはずです。
そして,何よりソーシャルワークは,理想を追い求めるものではなく,あくまでもクライエントのニーズを充足するものでなければなりません。
3 プランニングでは,利用者への援助の即効性ではなく,長期目標の達成を目指す。
プランニングは,長期目標,中期目標,短期目標の段階で構成されます。
短期目標の中には,援助の即効性も含まれます。
4 プランニングでは,利用者が問題を抱えて動揺している場合,援助計画にクライエントを関与させない。
援助計画は,クライエントのニーズを充足するための計画です。
クライエントが動揺しているからといって,「関与させない」という線引きは極めて不適切です。
クライエントの状況に配慮しながら,計画立案していきます。
場合によっては,クライエントが計画したものに同意したものであっても,あとから変更の申し出があるかもしれません。
だからといって,最初から参加させないという姿勢は,あってはならないことです。
5 プランニングでは,利用者の要望に積極的に応えるような計画を立てる。
これもややもすると適切なものに見えるかもしれません。
しかし,要望は専門的には「デマンド」と呼ばれます。
ニーズ(必要)とは,明確に区別されるものです。
クライエントのデマンドがニーズを充足するものでなかった場合は,どうしますか?
<今日の問題>
社会福祉士の国試に合格するのは,決して簡単なものではありません。
問題の多くは,解けそうで解けないもので構成されています。
今日も問題も決して簡単ではありません。
ほかの選択肢を消去して残ったものが正解になる問題だからです。
こういった問題を確実に正解していくためのポイントは,軸をしっかり定めることです。
この問題であれば,「プランニングはクライエントのニーズを充足するためのものであること」が軸となります。
そうしないと,落とし穴にはまります。
クライエントのデマンドを考えてみます。
薬物依存のクライエントの支援をしていた場合です。
クライエントのデマンドが,「薬物を使用したい」というものであったとしたら,当然それに応えるものにはなりません。
迷った場合は,このように極端な例を考えてみるのがよいと思います。
しかしそれには訓練が必要です。
知識をつけることで精いっぱいにならないように学習計画には余裕をもつことが大切です。