早速,今日の問題です。
第25回・問題119 社会福祉法人が行う事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 自主的に福祉サービスの質の向上に取り組むとともに,地域住民が求める限りにおいて,事業経営を透明にすることに,できるだけ協力しなくてはならない。
2 社会福祉事業を実施する必要があるが,当該法人の実施する事業において社会福祉事業は主たる地位を占める必要はない。
3 公益事業において剰余金が生じたときには,当該社会福祉法人の社会福祉事業や公益事業に充てることとされている。
4 収益事業として行う事業は,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるものや投機的なものはもちろん,福祉に関連しないものは適当ではないとされている。
5 社会福祉事業を行うために必要な物件について,所有権を持つべきかどうかについて,特段の定めはない。
この問題は,今までの国試の中で,合格基準点(いわゆるボーダーライン)が最も低くなった第25回のものです。
近年の国試では見られないような言い回しが長ったらしい選択肢が並んでいます。
長くなれば,引っ掛けポイントを多く作ることができるので,勉強している人でも引っ掛けられやすくなります。
問題文が長くなると,文章にほころびを生じやすくなりますので,そういったところに気がつけば,知識がなくても正解できる可能性が高まります。
さて,この問題の正解は,
3 公益事業において剰余金が生じたときには,当該社会福祉法人の社会福祉事業や公益事業に充てることとされている。
必須事業(法人の事業の主たる地位を占めていなければならない)
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〇社会福祉事業
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第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業
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任意事業(社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれのないもの)
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〇公益事業
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公益を目的としたもので,社会福祉事業以外の事業。例えば,子育て支援,有料老人ホームの経営など。
要件:社会福祉と関係のないものは認められない。社会福祉事業の円滑な遂行を妨げるおそれのないものであること。
剰余金は,当該法人が行う社会福祉事業又は公益事業に充てること。
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〇収益事業
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収益を社会福祉事業又は公益事業の財源に充てるために実施する事業。
事業の種類:制限はないが,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるもの又は投機的なものは適当ではない。
収益は,当該法人が行う社会福祉事業又は公益事業の経営に充てること。
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公益事業の剰余金も収益事業の収益ともに,社会福祉事業又は公益事業に充てることが必要です。
ほかの選択肢も見てみましょう。
1 自主的に福祉サービスの質の向上に取り組むとともに,地域住民が求める限りにおいて,事業経営を透明にすることに,できるだけ協力しなくてはならない。
社会福祉法では以下のように規定されています。
(経営の原則等)
第二十四条 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。
(経営の原則等)は,これで3回目の登場です。しっかり覚えておきましょう。
地域住民が求める,求めないにかかわらず,福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明。性の確保を図らなければなりません。
2 社会福祉事業を実施する必要があるが,当該法人の実施する事業において社会福祉事業は主たる地位を占める必要はない。
社会福祉事業が主たる地位を占めることが必要です。
4 収益事業として行う事業は,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるものや投機的なものはもちろん,福祉に関連しないものは適当ではないとされている。
福祉に関連しないものは適当ではないとされているのは,公益事業です。
収益事業は,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるもの又は投機的なものは適当ではないとされていますが,事業の制限はありません。
もしこの選択肢が正しければ,
収益事業として行う事業は,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるもの,投機的なもの,福祉に関連しないものは適当ではないとされている。
で良いはずです。「もちろん」が余計です。
5 社会福祉事業を行うために必要な物件について,所有権を持つべきかどうかについて,特段の定めはない。
社会福祉法では,以下のように規定されています。
(要件)
第二十五条 社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない。
<今日の一言>
今日の問題のうち,
5 社会福祉事業を行うために必要な物件について,所有権を持つべきかどうかについて,特段の定めはない。
に着目したいと思います。
この選択肢が正しければ,
社会福祉事業を行うために必要な物件について,所有権を持つべきかどうかについて,特段の定めはない。
という選択肢は出題しないはずです。
定めがないものをわざわざ出題する意味がないからです。
「定めはない」「定められていない」は,ほぼ間違いであると考えてよいと思います。
旧カリキュラムも含めて出題されたものは,以下の通りです。
<定めはない>
・福祉事務所の現業を行う所員の定数については,特に法令上の定めはない。
・審査請求に対する裁決はできる限り速やかに行われるべきではあるが,拙速な判断は避けるべきであるから,介護保険法,障害者自立支援法,生活保護法などの社会保障立法には裁決をすべき期間についての定めはない。
・この法律では,国及び地方公共団体に,成年後見制度の利用促進のための措置を講じることを求める規定は定められていない。
<定められていない>
・この法律では,国及び地方公共団体に,成年後見制度の利用促進のための措置を講じることを求める規定は定められていない。
もちろん,これらはすべて間違いです。