社会福祉士の国試の合格率は「約3割」です。
合格率は,決して高くはない試験です。
というか,逆に低いと言えるでしょう。
そのためなのか,最初からあきらめムードの人がいます。
合格できない人の方がマジョリティ(多数派)だからなのでしょう。
しかし,しっかり勉強した人なら,点数が取れる試験です。
そのため,近年では受験者の成績が大きく開く傾向があるようです。
150点満点のうち,点数が取れない人は50点に届かない
点数が取れる人は100点を超える
第31回国試は,第30回国試よりも4,000字近く文字数が多くなりましたが,それでもかつて最も多かった時と10,000字も少ない文字数で構成されています。
文字数が多い問題は,言い回しが長いため,引っ掛けポイントが多く作れます。
そのため,勉強した人でも引っ掛けられやすいために,点数が取りにくくなります。
逆に文字数が長いために,文章的に破綻をきたすことも多く,そこに気が付けば,勉強しない人でも,日本語的に解けてしまいます。
文字数が少ない問題では,知識が勝負の決め手となり,勘で正解できることはほとんどできなくなります。
しかし,勉強をしっかりした人は,引っ掛けポイントが少ないために,正解しやすくなります。
勉強が足りない人は,勘では解けないので,正解することが極めて難しくなります。
現在の国試は,すっきりした言い回しの問題が出題されるために,こうした理由で点数の差が大きく開くことになります。
それでは今日の問題です。
第29回・問題105 ソーシャルワークの援助過程におけるモニタリングに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 プランニングの前に実施される。
2 インターベンションが行われている間に実施される。
3 契約の前に実施される。
4 インテークの途中で実施される。
5 援助終結後に実施される。
モニタリングは,経過観察と訳されます。
日本語にすると,検討をつけやすいですが,一度も日本語では出題してくれません。
知識がなければ正解できないでしょう。
先に述べたように余計な言い回しは一切ありません。
正解は,選択肢2
2 インターベンションが行われている間に実施される。
前回の問題の正解は,以下の通りです。
4 支援の実施過程において,新たな対応や計画見直しの必要性等の確認を目的として行われる。
同じ内容を述べているにもかかわらず,文章がとても長いことがわかるでしょう。
その分,確認すべきポイントが2つあります,
今回の問題では,モニタリングはどの過程で行われるのか
前回の問題では,それに加えて目的も問われています。
勉強不足の人は,どちらも正解できないと思います。しかし勉強をしっかりした人はほとんど引っ掛けられることはないでしょう。
それが今の国試です。
<今日の一言>
相談援助の理論と方法は,問題数が多く,事例問題も多いため,点数が取りやすい科目だと思う人が多いようです。
そのため,勉強に時間をかけることも少ない科目でしょう。
しかし,実際には,確実に得点するためには,勉強することは欠かせません。
この科目は21問ありますが,10点程度の得点では合格するのは遠いです。
今まで国試を受験した人で,もしそのくらいの点数しか取れていないとすれば,確実に勉強不足です。
苦手科目があってもこの科目で大きく得点することができれば,その分をカバーできます。
多くの人が,しっかり勉強して国試に臨むと,合格基準点が大きく上がることになるので,勉強不足の人がいることは,本気で国家資格を得たい人にとっては,とてもありがたいことです。
3か月勉強で合格できる,といったアドバイスは,受験生を不合格の道へ引きずり込みますが,本気で合格ほ目指す人にとっては,別の意味でありがたいアドバイスだと言えるでしょう。
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