今回もモニタリングを続けます。
モニタリングは,支援の実施中に行われるもので,支援が計画通りに進んでいるかなどを確認します。そのうえで必要な場合は,再アセスメントなどを検討します。
それでは今日の問題です。
第26回・問題104 相談援助の開始後におけるモニタリングに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 実際の支援が計画どおりに実施されているとみなして,その効果を測るために経過の確認を行う。
2 計画の見直しの必要性を確認することが目的であり,提供するサービスの質は評価に含めないようにする。
3 支援の実施状況をできるだけ客観的に把握するため,利用者の主観的な言動は評価に含めないようにする。
4 支援の実施過程において,新たな対応や計画見直しの必要性等の確認を目的として行われる。
5 利用者から率直な意見を聞き取るため,支援にかかわる関係者に対しては聴取をせずに進める。
モニタリングのことを理解していれば,決して難しいものものではないでしょう。
正解は,選択肢4
4 支援の実施過程において,新たな対応や計画見直しの必要性等の確認を目的として行われる。
ほかの選択肢はそれほど難しいものではないですが,引っ掛けられやすいものとしては,
1 実際の支援が計画どおりに実施されているとみなして,その効果を測るために経過の確認を行う。
があります。
モニタリングは,経過の確認ではありません。
クライエントの状況によっては,支援方法が適切ではないこともあります。
その場合は,計画どおりに支援が実施されていても支援方法は適切ではなくなるのです。
<今日の一言>
社会福祉士の国試の合格率は,わずか3割です。
介護支援専門員の合格率に比べると高いですが,介護支援専門員の試験は,実務経験があれば受験できます。
そのため,受験資格があるから受験するという人もいるでしょう。
社会福祉士の受験資格は,それから比べるとかかなり高度です。
受験する人は限られています。
もちろん社会福祉士の国試を受験する人の中にもいわゆる「記念受験」という人もいるでしょう。
しかし,多くの人は,高いハードルを越えて受験資格を得て,国家資格を得ようと考えている人です。
それであっても,合格できるのは,わずか3割です。不合格になるのは7割にもなります。
マジョリティは,不合格組です。
マイノリティである「合格組」になるのは,今日の問題のような問題を確実に正解できることです。
つまらないミスは,不合格になる要因です。
後から読んだら解けた
ではだめなのです。
国試会場で解けなければなりません。
これって,意外に難しいことなのです。
だからこそ,合格率は約3割にとどまります。
あなたは,合格できる3割に入りたいですか?
それとも,合格できないのは7割なので,合格できなくてもよいですか?
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