人名とともに,歴史を覚えるのが壁になっていると思う受験者は多いと思います。
社会福祉士の国家試験でも歴史に関する問題は出題されます。
しかし覚えるべきものは,年号ではありません。
年号を覚えて得点できる問題はほとんどありません。
社会福祉士の国試は,歴史の試験ではありません。
覚えるポイントは,年号ではなく内容です。
例えば・・・
べヴァリッジ報告=1942年
これで解ける問題は皆無です。
第27回・問題23
社会的リスクに関する次の記述のうち,「ベヴァリッジ報告」で想定されていなかったものを1つ選びなさい。
1 疾病により労働者の収入が途絶えるおそれ
2 勤務先の倒産や解雇により生計の維持が困難になるおそれ
3 老齢による退職のために,稼働収入が途絶えるおそれ
4 保育や介護の社会化が不充分なため,仕事と家庭の両立が困難になるおそれ
5 稼得者の退職や死亡により被扶養者の生活が困窮するおそれ
べヴァリッジ報告=1942年
単語カードに書いて覚える人もいることでしょう。
この覚え方をすると歴史な関する問題は,ほとんど対応できないと思います。
この問題の詳しい解説は,また別の機会にしますが,必要なのは,年号を覚えることではなく,大体いつの時代なのか,を押さえることです。
1950年代,60年代,70年代,80年代,90年代,2000年代といったようなものです。
制度別で覚えていくとつながらないものも,ポイントを押さえれば必ずつながっていきます。
話は戻って,べヴァリッジ報告は,第二次世界大戦中に出されたものです。
ドイツのファシズム(全体主義)に対抗するために,イギリスが「生まれてから死ぬまであなたの生活を国家が支えます」というスローガンを掲げたものです。
ドイツとイギリスのどちらが戦士の士気が上がるかを考えたら,やっぱりイギリスですよね?
話は戻って,この問題の答えは
4 保育や介護の社会化が不充分なため,仕事と家庭の両立が困難になるおそれ
その時代と今では何が変化しているのかを考えることが求められる問題です。
国試が終わると
「今年の問題の傾向は変わったね」
という声が必ず聞かれます。
国試は,毎年ちょっとずつ出題の形を変えられて出題されますが,それは毎年のこと。
傾向が変わったのではなく,毎年ちょっとずつ変えて出題されている例年と同じスタイルだったね
が正しい表現です。
第30回・問題131
高齢者に関わる保健医療福祉施策に関する次の記述のうち,施策の開始時期が最も早いものを1つ選びなさい。
1 老人福祉法による70歳以上の者に対する老人医療費支給制度
2 老人保健制度
3 老人福祉法による65歳以上の者に対する健康診査
4 介護保険制度
5 高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)
老人福祉法 1963年
老人医療費無料化 1973年
といった覚え方では対応できません。
その施策の内容を覚えることが必要です。
答えは,
3 老人福祉法による65歳以上の者に対する健康診査
この問題で得点できた人は,本当に少ないです。
こんな問題を見せつけられると
年号を覚えなきゃ
と思う人も出てくることでしょう。
これが試験委員が仕掛けるトラップです。
<今日の一言>
年号だけを覚えて解ける問題は皆無です。
必要なのは,施策の内容を覚えることです。
歴史の試験ではなく,社会福祉士の試験であることを忘れてはなりません。
歴史問題に見せかけて,実は法制度の問題なのです。